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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二十話 包囲網
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方に居る。さらにその後方を哨戒していた部隊が連絡を絶った?

「エーリッヒ、事故だと思うか?」
「いや、それは無い。クレメンツ提督がこちらに知らせて来たという事は問題が起きたという事だ。少なくともクレメンツ提督はそう判断している」
「敵が居るという事か?」
オフレッサーが問うとエーリッヒが頷いた。敵か、しかし誰が……。

「クレメンツ提督に問い合わせてみよう」
「止せ!」
厳しい声だった。我々だけじゃない、オペレータ達も驚いてエーリッヒを見た。
「通信を傍受されたくない。例え内容が分からなくても頻繁に通信を始めれば後ろの敵にこっちが気付いたと判断される」
「しかし、誰が……」
リューネブルク中将が呟くとエーリッヒが低く笑い声を上げた。驚いてエーリッヒを見た。俺だけじゃない、艦橋に居る人間皆が見ている。

「ローエングラム侯だ」
“ローエングラム侯?”、皆の声が重なった。リューネブルク中将、オフレッサーが訝しげな表情をしている。
「レンテンベルク要塞に戻ったんじゃないのか?」
激しい音が鳴った。エーリッヒが指揮官席の肘掛を強く叩いた。

エーリッヒが俺を見ている。厳しい眼だ。気圧されるような感じがした。
「見たのか? アントン」
「いや、それは……」
確かに見ていない。エーリッヒの視線が更に強まったように見えた。

「貴族の艦隊を叩けば動揺を鎮めるために我々が出て来ると判断したんだ。そして密かに迂回して我々の後方に出た。ローエングラム侯の真の狙いはこっちだ。誘い出された!」
吐き捨てるような口調だった。相手の狙いに乗ってしまった、そんな思いが有るのかもしれない。

「確証が有るのか?」
オフレッサーが問うとエーリッヒは首を横に振った。
「私が神経質になっているのかもしれません。ローエングラム侯ではない可能性、敵が居ない可能性も有ります。しかし高を括って痛い目を見るよりも臆病者と蔑まれた方がましです! 部下を無駄死にさせたくない」
また指揮官席の肘掛を強く叩いた。酷く苛立っている。俺達が事態を甘く見ていると思っている。気を引き締めろ! エーリッヒの言う通りだ、状況は決して良くない。先ずはエーリッヒを落ち着かせる事だ。兵達に良い影響を与えない。

「エーリッヒ、少し落ち着こう」
「落ち着いていられるか、これが。後ろに付かれたんだぞ! それもローエングラム侯にだ!」
「皆が見ている。卿は指揮官だぞ、落ち着け」
忌々しそうに俺を見たがエーリッヒは何も言わなかった。

「如何する、艦隊を反転させてローエングラム侯を叩くか?」
オフレッサーが問い掛けるとエーリッヒが首を横に振った。
「前方にも敵が居ますよ、おそらくはロイエンタール提督でしょう。ビッテンフェルト提督も居るかもしれない。反転などした
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