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サンドイッチ
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めた者と最後の者とでは、最長で半日近い開きがあったとの報告もある。人並みの寝場所が全員に与えられたはずもない。
 一人が起こした騒ぎはすぐに膨れ上がり、この人数の軍人ではどうしようもなくなる。武器は携帯していても、威嚇であっても、民間人相手には使用してはならないと命令してあるが、暴徒に踏み殺されても無抵抗でいろとまでは言えない。
 一刻も早く船をそろえ、脱出の手段が整っていることを知ってもらわなければ。脱出の機会はまだ未定であったとしても。


 朝食は昨夜の残りが配られて、お姉さんの家族と一緒にロビーに並んだ。
「なんせ六人分だから、昨日一人で運ぶのはちょっと大変だったの。うちはまだ弟が小さいから」
 ベッドの中で少しだけ家族の話を聞いた。 
「駐在で家族全員で引っ越してきていたのよ。駆逐艦に乗っていて、今は連絡が取れないんだけど」  お姉さんは心配そうだった。朝食の為に並ぶよりもお父さんが無事かどうか、そちらが知りたいでしょうに。
「留守が多いから、その間は私が父親代わりなのよ」
 わたしより三歳しか上でないのにお姉さんは笑っている。 
 ホテルの調理室の手伝いを集めていると聞いて、お姉さんはそちらに行ってしまった。わたしは……自慢ではないけれど、料理は苦手というか、したことがないから。
 手伝いたい気持ちはあっても、こんな時に不慣れな人間がいても邪魔になるだろう。
 だからわたしはポットに湯を入れて、粉ミルクと一緒に配ることにした。赤ちゃんを抱いて列に並ぶのは大変だろうし、これならわたしにもできる。たっぷり湯を入れたポットは重たかったけれど。
「ありがとう。助かったわ」
「昨日はなかなかミルクがもらえなくて困ったの」
 そんな声を聞くとポットは少しも重たくないし、湯を取りに戻る時には走り出すくらいだった。
 それにしても、部屋で眠ることができない人があんなにいたなんて。毛布があってもロビーでは体が痛かったでしょうに。
 お姉さんたちが手狭でもベッドのある個室だったのはお父さんが軍人だからなのかしら?
「あなたの分をもらってきたわ。お昼はまだでしょう?」
「ありがとう。これを配ってからね」 
 ホテルの調理室だからパン焼き機があるらしく、卵とハムを挟んだだけのサンドイッチはふかふかで美味しかった。もう二切れくらい食べたいけれどそれは我慢。
 こんなに美味しいサンドイッチ、一人でも多くの人に食べて欲しいから。
「よそに泊まった人の食事はどうなっているのかしら」
 独り言のつもりだったけれど、隣に腰を下ろしていたお姉さんには聞こえていた。
「そりゃあ、何か食べていると思うけど。泊まることを考えたらやはりホテルじゃないの?」
「でも観光地じゃないんだから、住人の人数よりも施設が多いわけはないし……」
「ああ
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