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 なんだか困ったことになったのかも。


 大人たちが騒いでいる。
 みんなわたしを心配させないように「大丈夫だよ」「任せておきなさい」なんて言っているけれど。
 何がどう「大丈夫」なのか、どんな根拠や自信があっての「任せておきなさい」なのか、誰も具体的に言ってはくれない。
 五歳の子供なら大人の言うことは無条件に信頼するだろう。いや、信頼なんて言葉も知らないかしら。
 でもわたしは五歳ではなく一四歳なのだから。      
 戦闘は終了した。同盟軍は勝利した。我が軍は銀河帝国から祖国を守り切った。
 そう発表はされたけれど、それは真実だったのか───少なくとも負けていないことはわかる。わたしがこうして無事でいることが何よりの証拠。
 本当に勝利したのかはわからない。帝国軍を撃退できたのかも。
 軍部発表は正しいこともある。
 そんな認識は持っていない方が幸せかもしれない。
 軍人の父はけっして軍の機密を家族の前で漏らすことはなかったけれど。わたしももう一四歳なんだから。      
 勝利して一度引き上げた部隊は、何故か戻ってきた。
 逃げ戻ってきた、という表現の方がより正しい。
 撃退したはずの帝国軍に包囲されているらしく、軍部はわたしたち民間人を安全に脱出させてくれると言うけれど……
 その責任者があの人なの?
 司令官が指揮をとるべき、とまでは言わないけれど中尉? 司令官はリンチ少将で、その間には大尉も少佐も中佐も階級としては存在するんだし、まさか少将の次に偉いのが中尉だなんてわけはないわよね。
 階級も低いし、年もずいぶんと若そう。というか、軍服を着ていなければ軍人には見えないわ。
    

 ひとつ狂うとすべてが狂うものだな   
退役まで記録統計室にいてもよかったのに。別に階級も少尉のままでも生活には困らない。
 中尉にしてくれなんて頼んでないし、昇進と前線勤務と選択させてくれたのなら、私は伍長に降格でも喜んで受け入れたのだが。
 それにしても……我が司令官がここまで大胆、というか、予想外のことをしてくれるとは思わなかった。
 艦橋に座っているだけで給料がもらえるなんて、そんなうまい話があるわけないとは薄々思ってはいたが。
 まったくもって司令官としての義務感を持ち合わせているのか、問いただしたくもあるが、その時間も惜しい。
 いや、自分が指揮を取ると言い出さなかったことを評価すべきなのか?
 とにかくだ。
 なりたくてなったわけではないが私も軍人であるし、民間人を護るのは軍人の責務だ。非戦闘員はただちに戦場から脱出させるべきで、そこに反論の余地はない。
 その責任者に何故私が選ばれたのか───納得のいく説明を受けたくはあるが、やはり今は何よりも時間が惜しい。
 昇進を望みはしな
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