第一部 学園都市篇
第3章 禁書目録
29.Jury・Night:『Ath nGabla』
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こそ。
「そりゃどうも。流石に同じルーン使いだ。この“浅瀬の四枝”、分かって貰えたかい」
「『その陣を敷いた者は敗北を赦されず、その陣に臨む者は退却を赦されない』…………君達、“赤枝の騎士団”の、一騎討ちの大禁戒!」
ケルト神話の大英勇、アイルランドにおいてはアーサー王すらも凌ぐ名声を誇る『クー=フーリン』が敷いた魔陣『浅瀬の四枝』。
故国に攻め入る敵兵を、一騎討ちにて押し止めた浅瀬の攻防戦の再現を成して。
「そうだ。つまり、貴様らは此処で……殺す────俺が」
「理由は。赤の他人の為に、何故」
「『何故』? これだから、外国人は」
嚆矢が、煙草を棄てる。虚空に投げ出された煙草は、くるくると螺旋を描きながら────虚空を食い破って現れた刃金の螻蛄、神鉄を纏うショゴスにより喰われて。
更に、背後に『影』を背負う。燃え立つ三つの眼差しで一堂を嘲笑う“悪心影”。それに与えられた“圧し斬り長谷部”を携えて。
「『袖擦り合うも他生の縁』……それが、日本男児の心意気なんだよ」
吐き捨てながら決意の眼差しを向け、鯉口を切りながら柄に手を掛ける。まるで、舞でも舞うかのように脚を踏み出して。
「“人間五十年……下天の内を競ぶれば、夢幻の如くなり”」
砕け散るように、ショゴスが分解した装甲を乱舞させる。黒い刃金と黒い影、その二つが入り乱れた嵐の中。嚆矢は、誓句を唱える。
「“一度、生を得て”……」
構えたのは、嚆矢だけではない。火織とステイルもそれぞれ、得意な構えを取って嚆矢の動きに備えていて。
《────“滅せぬものの、在るべきか”!》
装甲を遂げ、全身を刃金とした嚆矢が二人を見遣る。燃え盛る三つの深紅の眼差しを瞬かせ、装甲の隙間から血涙を流すショゴスの瞳を覗かせながら。
《手心だ────二人懸かりで来い》
挑発の言葉を弄する。腕を組み、舐めた態度を崩さぬままに。
「……駆動鎧、だったか。学園都市の最新技術。それを魔術で強化しているようだ」
「構いません、なんであれ斬り捨てるのみ」
「全くだ。では、改めて自己紹介と行こうか」
その巨躯を見詰め、驚きを通り抜けた火織とステイルは既に冷静を取り戻している。当たり前だ、この二人は歴戦の古兵。
そこらの若輩が幾ら意表を突こうが、殺すと決めてしまえば感情には左右されない。
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