第四章
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「どうやら」
「ずっとここですか」
「はい、転属とかもなくて」
それもないのだという。
「部隊の配属も聞きませんから」
「それでここですか」
「まあここでやれることをやりましょう」
円満に顔を向けて微笑んでの言葉だった。
「わし等のやれることを」
「そうですね。じゃあ」
こんな話をしていた。その次の日だった。遂に来るものが来た。
「敵襲、敵襲!」
「来た!?」
「遂に」
二人はその時は格納庫にいた。その暗い場所ですぐに顔をあげたのだった。
「迎撃用意!」
「行きましょう」
「はい」
円満は内山の言葉に頷いた。
「それじゃあすぐに」
「銃座に」
対空射撃の為だ。そこに向かおうとすぐに倉庫を出る。滑走路ではもう戦闘機が次々と離陸していた。戦いが今まさにはじまろうとしていた。
二人は滑走路の近くにある銃座の一つに着いた。既に高射砲にも人が着いている。戦いがはじまろうとしているのは明らかだった。
「いいか!」
側にいる将校が彼等に叫んできた。
「味方は狙うな」
「はい!」
「わかりました!」
「敵を狙え!敵は向こう側から来る!」
叫びながら手にしている軍刀で東の空を指差すのだった。西の方にはもう自軍の迎撃機達が展開しているもう既にであった。
「乱戦になったら撃つな」
「撃つな、ですか」
「味方を巻き込む」
だからだというのだ。これは冷静な判断だった。
「だからだ。わかったな」
「了解です」
「それでは」
二人だけでなくそこに着いている全員が応えた。そうして東から来た敵軍に照準を定めるのだった。
その敵の数を見て。円満は思わず唸ってしまった。
「凄い数ですね」
「ええ、これはまた」
内山も空を見上げたまま述べた。何百機もの大軍だった。ここからだとその大軍も点の集まりにしか見えない。だがその点の数が相当なのだった。
「流石と言うべきですか」
「あの数は」
「よし、狙え!」
ここでまた将校が命令を出してきた。
「各自狙って撃て!いいな!」
「内山さん!」
「はい、円満さん!」
二人は互いに言い合いそうして攻撃をはじめた。全ての銃座が上に向かって火を噴き高射砲も砲撃をはじめた。忽ちアメリカ軍の大軍の周りを弾幕が包んだ。
しかし弾幕だけで碌に当たってはいなかった。確かに命中はして撃墜される機体はある。だがその数は至って僅かだったのである。
「当たらない!?」
「いえ、諦めないことです」
悲観した彼に言う内山だった。
「ここは」
「撃ち続けるんですね」
「はい、そうです」
まさにそれだというのだ。それしかないと。
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