concludere
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ら戦人はどんな表情をしているだろうか。怒っているか、困っているか...。
「頭を上げてくれ、狼銃。怒っちゃいないさ。ま、ゲームとはいえ親族を殺されたのは腹が立ったけどよ」
「......」
「でも、お前は俺に気付かせてくれた。どんな謎にも必ず答えがあると。お前は俺を導いてくれたんだろ? 俺が思考を止めないように...」
「言っただろう。俺は《虚無の魔導師》。魔導師は、魔力を用いて導き啓す者のことだ。それが、この世界の俺の役割だからな」
「だから、もういいんだ。頭を上げてくれ。そして、お前の成すべきことをしてくれ」
それは、記憶を沈めて本当の『世界』に帰すことを意味する。
今の戦人には余計な言葉は邪魔になるだろう。ならば、黙ってそれを受け入れよう。
戦人に言われた通り、頭を上げる。彼の表情は苦笑だった。釣られて俺も苦笑する。
「では、目を閉じて......ーー」
◇◆◇◆◇◆◇◆
無事、戦人を送り届け、帰って来た『世界』で俺を出迎えたのはベルンカステルだった。
ラムダデルタは見当たらない。彼女が手にしている《片翼の紋章》が描かれた封筒と関係があるのだろう。
「あの子なら、別の欠片へ行ったわ。ゲームマスターになった戦人が招待状をくれたのよ」
「お前は行かないのか?」
「人気者は遅れて登場するものよ」
なるほど。お前らしい考えだ。
「...それにしても、随分と優しいのね。いつから、そんなにお優しくなったの?」
............ふっ。
「優しい? 誰が? この俺が? ははッ!!」
ここでの記憶を消されて、ここで身についたことも忘れて、また最初からやり直し。スゴロクで言うなら、アガリ寸前でフリダシに戻ったということだ。優しいわけがない。
「あら、よかった。以前と雰囲気が違ったから、もしかして貴方も変わってしまったのかと思ったけれど...」
「素のままで、戦人を納得させられないのは分かってたからなぁ。少しばかり演じさせてもらった。ま、ちょいちょいボロは出てたがな」
「ふふ。ま、退屈しなかったからいいわ」
ベルンカステルは笑う。幼い少女の姿をしているくせに、その笑みは大人びていて妖しく、幼いまでに残酷そうに見える。昔は明るく笑いもしていたのに。ま、それも偽りの笑みではあったか。
宙に歪な空間が生まれる。
「もう行くわ。じゃ、また縁があったら会いましょ」
「ああ。良き航海であることを心より祈る」
「......」
瞬きの間に、魔女ベルンカステルの姿は消えていた。
ゲームマスターに至った戦人の下へと向かったんだろ
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