第4話――二つに別れた道
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ふぅ、と息を吐いてコハクは《灼爛孅鬼》を解除した。
巨大な戦斧は跡形もなく消えてしまった。
ふとコハクは自分の手を見てみる。
小さな子供の手。
けれどこの手は人を殺した手。
仕方がなかった。
殺らなければあの3人の大人はコハクを、コハクの仲間を傷つける。
もしかしたら殺すかもしれない。
だから、殺った。
ギュッと手を握る。
震えを誤魔化すために。
もう止まれない。止められない。
人を殺したのだから。
だから、進みだそう。
咎を背負い、それでも笑って進もう。
それが生きるということだから。
コハクは歩き出した。
怪我が完全に治ったわけではないからゆっくりと。
「エルザを助けなきゃ」
自分に言い聞かせるように言った。
特別懲罰房に入ってから時がどれほどたったかは分からないが、もしかしたらエルザはまだ懲罰房で拷問を受けてるかもしれない。
だから助けなければいけない。
場所は分からない。
それでも探さなければならない。
一人でも欠けたら皆ではなくなってしまうから。
のっそり、のっそりと歩く。
亀のように遅々として前に進まない。
もどかしい。
早く歩きたいのに歩けないから。
もう一度天使の力を顕現させられれば良かった。
けれど強大な力に代償があるのは世の常であり、天使の力もまた同じだった。
天使の力の代償。
共通の代償ならば、魔力の多量消費。
コハクは桁外れに保有魔力は多い。
けれど、それは子供にしてはという言葉がどうしてもついてしまう。
《灼爛孅鬼》の顕現、《灼爛孅鬼》の顕現中の常時効果である傷の再生、大人達を燃やし尽くした炎。
これらでコハクの魔力はすっからかんだ。
個々の代償なら、《灼爛孅鬼》は天使の顕現中に破壊衝動がおきること。
それと解除した後に糖分がどうしても欲しくなるといったところだ。
まぁ、後者は酷くならない限り堪えられる。
今も食べたいなくらいにしか思っていない。
だから、今は気にしないでおけばいい。
問題は迷子になってることだろう。
敵地で迷子。
冗談でも笑えない状況だ。
しかも魔力がすっからかん。
武器が無くしてどうやって戦えと言うのか。
状況は最悪。
今はただ運良く見つかってないだけ。
それでもコハクは足を進ませる。
十字の分かれ道についた。
一瞬考え、左へと足を進ませる。
何となく。勘で選んだだけだった。
「コハクーー!!ジェラールーー!!」
と声が聞こえた。
その声はコハクもよく知る女の子の声だった。
「……エルザ…
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ