第4話――二つに別れた道
[4/4]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
っていた希望が打ち砕かれてしまったから。
ジェラールは変わってしまった。
それが二人に突きつけられた現実だった。
「それがおまえらの自由だ!!!
仲間の命を背負って生きろ!エルザァァァ!コハクゥゥゥ!!
あははは!!」
最後に見たジェラールは嘲笑っていた。
その後の記憶はない。
二人は気がついたら名も知らない海岸にいた。
そして二人は泣いた。
お互いの存在を離さないように強く抱きあいながら声を上げて泣いた。
その内に秘めた思いはまだ幼い二人には複雑すぎて言葉にできなかった。
喪失感、無力感、悲愴感、憤怒、それ以外にも数多の負の感情が押し寄せてるのは確かだった。
まるで夜の海のような暗く冷たい。
1時間もたつと涙も渇れ、二人は支えあうように抱き合っていた。
ざぁざぁ、と波の音しか聞こえないそんな中でコハクは唐突に言った。
「僕は強くなるよ」
いきなりのことにエルザは抱き合ったまま上半身を少し離してコハクの顔を覗きこんだ。
赤く腫らした双眸にははっきりと意志が宿っていた。
その目でしっかりとエルザを見ていた。
そんなコハクを見てエルザは確信した。
コハクは逃げずに立ち向かおうとしていると。
兄のように慕っていた者に裏切られたにも関わらず。
エルザにはコハクが眩しく見えた。
あんな酷いめにあったんだから逃げてもいいじゃないか、まだ泣いてもいいじゃないか、塞ぎこんでもいいじゃないか。
それでもコハクは言った。
強くなると。
その強くなるという言葉には色々な意味が込められているのだろう。
ジェラールの目を覚まさせるため、仲間たちを救うため、エルザを守るため、そしてエルザは未だしることは無いが、コハクの使命のために。
そして今口にしたのは決意の現れでもあり、エルザに問うているのだ。
エルザはどうするのか、と。
だから答えよう。
「私もついていく」
例え泣くほど辛くても、例え鎧を心に纏おうとも、エルザはコハクについていくと決心した。
「ありがとう」
コハクはにこりと笑った。
いつもと同じような微笑み。
けれど、エルザには違って見えた。
時は刻々と過ぎ去って往く。
決意をした少年と少女は男と女に成った。
その道中に新たな出会い、新たな仲間、そして家と呼べる場所。
笑いあい、時には喧嘩しあう中で物語は始まる。
物語の中心は妖精の尻尾(フェアリーテイル)
そして紡ぐのは妖精の尻尾(フェアリーテイル)のS級魔導士『熾天使(セラフ)のコハク』
どうかご覧あれ。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ