第4話――二つに別れた道
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凸凹の地面に身体を打ち付けた痛みに声を出した。
けれど、身体の痛みなんか気にしてる暇はなく、コハクは前へと進んだ。
立つこともままならず、四つん這いで無様でも懸命に前へと。前へと。
そして通路が途切れた。
そこから見えたのは今まで探していた兄と先に行かせてしまった友。
一瞬二人を見つけたことでコハクの顔に明るさが戻り掛けたがその顔はすぐに困惑で彩られた。
何故、何か分からない手でエルザは首をしめられているのか。
何故、ジェラールはそんなエルザを助けようともせず、岩山の上で立っているのか。
分からない。分からないが疑問を解消する前に口が動いた。
「ジェラール!?エルザ!?」
「コ……ハク……」
苦しそうに呻きコハクの名を呼ぶエルザ。
「やぁ、コハク」
そしてぐるり、とジェラールが身体ごとコハクへと振り返った。
そのジェラールをみた瞬間背筋が凍った。
ジェラールじゃないとはっきりと理解させられた。
目の前にいるのはジェラールだ。
だけどジェラールじゃない他のナニかだ。
「……ぁ……どうして…………」
コハクの目から涙が溢れ出す。
それでもコハクはジェラールを見続けた。
「ゼレフのためさ。皆もそのために働かせてやる。
そうすれば、おまえの好きな笑顔が溢れる楽園をつくれるんだからな」
「ちがう!ちがうよ!絶対にちがう!!」
何が違うのか、コハクには分からないがはっきりと違うことだけは分かった。
だから拒絶した。
「ふぅ……そうか。
なら、おまえもいらない。
エルザとともに島から出してやろう」
「なに――――あぐぅ!?」
なにを言ってるの!?と叫ぼうとして背後からの衝撃を受けて通路から転がり落ち、エルザから少し離れた所でようやく止まった。
そしてエルザのように地面から生えた手によって首を絞められる。
「……うっ…………」
「……コ……ハク……」
「ふたりでかりそめの自由を堪能してくるがいい。わかってると思うけどこの事は誰にも言うな。
楽園の塔の存在が政府に知られるとせっかくの計画が台無しだ。
バレた暁にはオレは証拠隠滅のため、この塔及びここにいる全員を消さねばならん。
おまえらがここに近づくのも禁止だ。
目撃情報があった時点でまず一人殺す」
「……ジェ……ラ……ル」
コハクは目から大粒の涙を流し、ただ名を呼ぶ。
それ以上は言わないでと目で、心で訴えかける。
けれど、ジェラールは言い放った。
「そうだな。まずはショウあたりを殺す」
仲間を殺すと。
「ジェラ……ル」
ポロポロとエルザも涙を流す。
ジェラールは変わってないとすが
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