第4話――二つに別れた道
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
…?」
助け出そうとしてる相手の声が聞こえたことに疑問を持ったが、返事をした。
「エルザーー!!僕はここにいるよ!!」
「コハク!?よかった!!」
驚きの声が聞こえ、やがて走ってくる音が聞こえ、少したつと、コハクのもとに走ってくるエルザが見えた。
何故大人達が見張ってるのにエルザがここにいるのか、その疑問はエルザの姿を見れば一目瞭然だった。
剣と盾を持ち鎧を纏っていたのだから。
それら以外には右目に眼帯をしている、それがコハクの見ぬ間に起きた変化だった。
「エルザ……」
右目に眼帯をしているものの、一番心配していた仲間が目の前に現れてコハクは安堵の息をもらした。
「ジェラールが戦えって、だから私たち戦ったんだ!
でも、ジェラールが私の代わりに捕まって……」
走ってきたから息を整えながらエルザはコハクに教えた。
「……そんな……
エルザ、お願い!
ジェラールを、ジェラールを助けて!!
僕、走れない!
でも早く助けないとダメだから!!」
不安で顔を歪ませてエルザに懇願する。
コハクにとってジェラールはかけがえのない存在だ。
だから、助けたい。
でも、コハクは既に限界を向かえてる。
だからエルザに頼んだ。
「任せて!!」
声を上げてエルザは了承し、駆けていく。
身体がボロボロで、壁に手をついて歩くのがやっとなコハクでは出せない早さ。
そんなエルザの背をすがりつくような目で追いながらコハクも亀のような早さで歩きだした。
遅々として前に進まない自分の足を心の中で叱咤しながらコハクは前へと進む。
エルザと別れてどれくらいかたったころ、悲鳴が響いてきた。
断末魔の死に怯える叫びだ。
それが何度か続く。
ジェラールやエルザの声はなかった。
でも、次に聞こえてくるのは二人の声ではないかとコハクは怖くなった。
先程、人を殺した時よりも手が震え、拷問されていた時よりも心が痛む。
焦ってエルザを先に行かせてしまったことを後悔し、浅はかな自分に憤りを感じた。
急ぐ。急ぐ。自分の持てる力を尽くして歩く。
「はぁはぁはぁ」
息が荒くなり、足が縺れそうになる。
それでも早く歩いた。
途中で赤黒い何かの塊が目に入った。
心が受け付けなかった。
だからコハクは見て見ぬフリをした。
「きぁああっ!!」
悲鳴が聞こえた。女の子の悲鳴。
誰の声かはすぐにわかった。
「エルザぁぁああ!!」
喉が渇れんばかりに叫ぶ。
いてもたってもいられなくて身体に鞭を打ち走った。
けれど、数歩も走らぬうちに足が縺れ、転けてしまう。
「あぐぅっ」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ