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炎王龍異聞
プロローグ
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[9] 最初


そして炎王龍は


最期の力を振り絞ったのだろう、もはやその命は尽きようとしていた。
彼は最期に自らを破った者達を一瞥し…ゆっくりとその体を大地へと横たえた。




戦いは終わったのだ。




≪ハンターギルド報告書≫


炎王龍との戦闘により、G級ハンターの1名が死亡、2名が意識不明、残る1人は命に別状はないものの、深く沈みこみ、この精神の傷を癒すためには長期の療養を必要とする。
なお、討伐された筈の炎王龍の死体は、後日ギルドが回収に向かうものの死体は何処にも無く、周辺を捜索するも原因は不明。
戦場と思われる場所には砕かれた炎王龍の剛角と尾が確認できたものの、体部分は発見できず。
引き続き捜索を継続する…





炎王龍の死体は何処へ消えたのか?
それはギルドが、ハンター達の誰もが想像もしない場所であった。









≪彼≫は死に瀕していた。



王の証たる剛角は無残にも砕かれ

一振りで堅牢な巨岩すら粉砕する強靭な尾は切り飛ばされ

王の紅とまで呼ばれた彼の見事な肉体は創傷に塗れ




――我はこのまま死ぬのか

――奴等は強かった

――ならば佳いだろう

――願わくば、生まれ変わる先でも



そこで≪彼≫の意識は途切れる。
薄れゆく意識の中、彼は死の最果てに光を見た。


炎王龍テオ・テスカトルはこの日を境に炎龍山より姿を消す。
[9] 最初


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