第149話
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れない速度ではなかった。
後ろに下がってその一撃を避ける。
そこで濡れた路面を強く踏み込んだのが原因になったのか。
ずるり、と足を滑らせてしまう。
「いっ!?」
前かがみに倒れながら、前を見る。
獲物が絶対の隙を見せた所を見て、ティンダロスの猟犬は鋭い爪で上条に襲い掛かる。
このままでは避ける事ができずに、一撃を貰うだろう。
あの青みがかった脳漿のような粘液に覆われているのだ。
もしかしたら、爪には毒のような成分が含んでいる可能性が高い。
つまり、一撃でも喰らえばそこで死ぬ可能性がある。
「んなろおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!」
叫びながら滑った足とは逆の足を無理矢理前に出す。
片足だけで全体重を支え、そのまま右手を前に突き出す。
クロスカウンターのような構図になるが、ティンダロスの猟犬の前足より、上条の右腕の方が長い。
ティンダロスの猟犬の前足より速く、上条の右腕がティンダロスの猟犬の身体を捉えた。
何かが砕け散る音と共に、ティンダロスの猟犬の身体は一瞬で塵となり消滅した。
上条はそのままバランスを崩し、濡れた路面に倒れる。
正直、ギリギリだった。
もし、ティンダロスの猟犬が前足ではなく舌での攻撃なら上条は間違いなくやられていた。
さっきの生物がまた出てこないか、と警戒したが出てくる気配はない。
(ヴェントの奴、あんな化け物を使ってまで学園都市を潰したいのかよ。
早くあいつを止めないと。)
さっきよりも速く走りながら、合流地点の鉄橋に向かって上条は向かう。
第七学区のビルの屋上。
そこから下を見下ろしている一人の人物がいた。
全身に赤いローブを被っているので、性別や表情などが窺えない。
手には一冊の本があった。
その本が一瞬だけ光ったのを見て、
「ほう、星の守護者は予想範囲内だが一方通行と上条当麻の方も倒したか。」
そして、何かを呟く。
常人の耳では聞き取れない言語。
しかし、聞き取れれば勝機を蝕む呪文をその人物は苦も無く唱える。
唱えられる理由は簡単だ。
この人物にはもはや正気など存在しないからだ。
「さて、次はどうかな?
星の守護者、君の大事な者はあの猟犬から逃げ切れるかな?」
不吉な言葉を残してその人物は再び呪文を唱える。
目の前には何もないのに、突然穴が開く。
門とは思えないがその人物からすれば立派な門だった。
異次元の門の先は何も見えない。
それなのにその人物は躊躇いもなくその門の中に足を踏み入れる。
入ると同時に門は消えるのだった。
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