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とある星の力を使いし者
第149話
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人が麻生の事を知って居ない可能性が高いので言わなかった。
それにヴェントについても話さなかった。
魔術側の事を話した所で意味がないと思ったからだ。
話を終え、その人は家に帰れと言ったが今さらなかった事にする事はできなかった。
手伝わせてくれと言うと、第七学区のデカイ鉄橋。
そこが合流地点になっているらしい。
それで通話を終え、今はその合流地点に向かっている。
ファミレスまで追いかけた黒ずくめ達の追手を気にしながら、上条は思った。

(街が静かすぎる。
 あの警備員(アンチスキル)の人達みたいにほとんどの人が倒れているのか?)

こんな事なら麻生にこの術式だけでも聞けばよかった、と上条は後悔する。
ヴェントがこれを起こしているのは間違いないのだが、どんな術式を使っているのか分からない。
原因の術式はもしかしたらヴェント自身ではなく、設置型の可能性もある。
ともかく、打ち止め(ラストオーダー)を見つける事が優先だ。
何とか避難させてから、ヴェントを倒す。
そう思った時だった。
違法駐車してある自転車から強烈な存在感を感じた。
通学用の自転車なのか、ツーリング用の自転車のチェーンホイールからそれは出てきた。
四足獣であるということ以外は、犬には似ても似つかない身体。
口から出る「太く曲がりくねっていて鋭く伸びた注射針のような」長い舌と全身が「原形質ににいているが酵素を持たない青みがかった脳漿」のような粘液に覆われた、まるで何も食べていないような痩せこけたような身体。
ティンダロスの猟犬の出現に上条は大きく目を見開いた。

(何だ、この化け物!?)

ティンダロスの猟犬は鋭く伸びた注射針のような舌を上条に襲い掛かる。

「ッ!?」

咄嗟に横に転がる事で何とか避ける事ができた。
ティンダロスの猟犬は上条を獲物と判断しているのか、ゆっくりとこちらに近づいてくる。

(ヴェントが魔術で作った生物か?)

合成獣(キメラ)という生物が存在しそうな魔術の世界だ。
もしかしたら、そういった系列の生物なのかもしれない。
正気が削れそうな身体をしているがそれを狙って戦意を挫く役割を担っているのだろうか、と上条は考える。
その効果は絶大だな、とティンダロスの猟犬の身体を改めて見て思う。
しかし、ここで引く訳にはいかない。
ここで逃げれば、ファミレス店でヴェントが行った無差別に関係のない人を襲う可能性がある。
今すぐにでも逃げ出したい衝動に駆られるが、拳を強く握る事で何とか抑える。
相手が魔術で作られたのならこの右手を受ければ一撃で倒せるかもしれない。
先に仕掛けてきたのはティンダロスの猟犬だった。
二メートルある距離を一足で詰め、前足の爪で上条の腹に向かって繰り出す。
動きは速かったが、避け
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