第149話
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もない男の声だった。
聞き覚えがあったが、今はそんな事を思い出している暇はなかった。
その男の話では打ち止めと先程まで一緒にいたらしい。
しかし、黒ずくめの男達に追われ、イタリア料理系のファミレス店の中で逸れてしまったらしい。
その後、色々話を聞いたが罠である可能性は決して低くなかったが、今の一方通行に安全な道を選んでいる余裕はない。
その男は打ち止めの捜索に手伝いたいと言い出した。
話を聞いた限り、こちら側の人間ではないことは明白。
しかし、男の方は引き下がるつもりは全くないようだ。
適当に嘘をついて、そこで話を終える。
男が言っていたイタリア料理系のファミレスに今はいる。
ウィンドウは全部割れていり、中は客や店員が全員倒れていた。
麻生が言っていた原因不明の昏倒はこの事だろう。
そこに黒ずくめ達はいない。
この分だと打ち止めの痕跡も隠滅されているだろう。
無駄足だったな。
そう考え、ファミレス店から出ようと思った時だった。
ぞくり、と背筋に緊張が走った。
それは一方通行の前の床に落ちている割れたガラスの鋭角からだった。
何か、とてつもない存在感をそのガラスの鋭角から感じた。
そこから黒い霧が噴き出すとそれらは固形へと変質し、地を這う四肢を形作る。
四足獣であるということ以外は、犬には似ても似つかない身体。
口から出る「太く曲がりくねっていて鋭く伸びた注射針のような」長い舌と全身が「原形質ににいているが酵素を持たない青みがかった脳漿」のような粘液に覆われた、まるで何も食べていないような痩せこけたような身体。
ティンダロスの猟犬の出現に一方通行は首を傾げた。
(何だ、この気色悪い生き物は。)
生き物と呼ぶのか分からない化け物を見ても、一方通行は特に何も思わなかった。
確かに不気味だ。
身体の構造や青みがかった脳漿などを見て、正気を疑うような生物だ。
だが。
(木原のヤロウ。
生物兵器までに手を出しやがったのか。)
この生物は木原の何かしらの策略などだと思っている。
ガラスの鋭角からの出現。
正気を疑うような化け物。
これらを見ても一方通行は木原ならやりかねないと妙に納得した考えが浮かんだ。
だが、一方通行は気がつかない。
その考えが既に本能が自分でも気がつかない内に現実から目を逸らしている事を。
妙に納得しているのは、正面からあの化け物と対面して理解しようとすれば人間の精神などないに等しい。
ティンダロスの猟犬はゆっくりと一方通行に近づく。
杖代わりにしているセミオートショットガンを
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