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とある星の力を使いし者
第149話
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理などは麻生にとってどうでも良かった。
鋭角にしか逃げ込めないのなら、鋭角が存在しない空間に誘い込めばいい。
麻生の後ろでティンダロスの猟犬が再びビルの鋭角から出現する。
それに気がついていないのか麻生はただ前を見つめていた。
鋭く伸びた注射針のような舌で麻生の顔面を狙う。
完璧な不意打ち。
何が起こった事を知る前に麻生は絶命する。
そうなると確信していた。
麻生が普通の学生なら。
突き刺さる瞬間、麻生は後ろを見ることなく襲い掛かる舌を右手で掴む。

「まぁ、そうくるよな。」

舌を掴みながら、麻生はティンダロスの猟犬の方に振り返る。
後ろから来ることなど麻生は予想していた。
というより、既に全方位を探知できる結界を張っていた。
ティンダロスの猟犬が出現した時点でどこにいるのか分かっていた。
麻生はその舌を引っ張り、はるか上空へと放り投げる。
能力を使って重力、ベクトルを制御して数秒でそびえ立つビル群より高く舞い上がる。
空中には鋭角どころか何もなかった。
これでは鋭角に逃げる事ができない。
ティンダロスの猟犬が高く舞い上がると同時に麻生も同時に跳んでいた。
左手には星の力が凝縮されている。

「終わりだ。」

一切の躊躇いのない一撃がティンダロスの猟犬を襲う。
拳は体を貫き、星の力が蒼い炎となってティンダロスの猟犬の身体を完全に燃やし尽くす。
空中で灰も残らず消滅して、麻生は先程の通路に着地する。
ティンダロスの猟犬を倒したのに麻生の表情は何も変わらない。
むしろ警戒していた。

(手ごたえがなさすぎる。
 差し詰め、あれは偵察といったところか。)

何体かあのような生物と戦ったが、今回のティンダロスの猟犬はあっさりしすぎていた。
他にも出て来るかと思ったが、その気配はない。
この不気味な雰囲気に麻生は警戒を強くする。

(どの道、あいつらが動いているのなら尚の事、愛穂達を見つけないと。
 今の生物は俺だから簡単に倒せたが、普通の人間からすれば脅威の存在だ。)

麻生が戦うと簡単に思えるかもしれないが、ティンダロスの猟犬は人々の脅威になる事は間違いなかった。
そもそも、鋭角があれば自由に逃げる事ができ、いつでも攻撃ができるのだ。
鋭角などそこら中にいくらでもある。
つまり、どこから出てきてもおかしくない。
麻生はとりあえず愛穂のマンションに向かう。
しかし、能力は使わなかった。
例の奴らがここにいるという可能性が出た以上、一秒でも節約したいからだ。
降りしきる雨の中、麻生は走って行った。








妙に聞き覚えのある声から電話がかかってきた。
打ち止め《ラストオーダー》の電話番号からかかってきたので、少し警戒して通話すると木原でも何で
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