第140話 呂岱士官する
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宗は笑みを浮かべ呂岱に言った。彼はそう言い片手剣を勢いよく振り彼女の首直前で止めた。
「定公、私に仕えよ」
正宗は真面目な表情で言った。
「ではお代をいだけませんでしょうか?」
呂岱は笑みを浮かべ言った。
「幾らだ?」
正宗は笑みを浮かべ言った。
「この店を三週間手伝っていただけませんでしょうか?」
正宗は呂岱の答えを予想できていたのか笑みを浮かべたまま軽く頷いた。
「貴様、正宗様をどこまで愚弄すれば気が済む!」
泉は呂岱に怒鳴るやいなや、銀槍を構え凄まじい勢いで呂岱との間合いを詰めた。
銀槍は呂岱に届くことはなかった。正宗が片手剣で銀槍を下方向に叩き落とし足で踏みつけた。泉は勢い余って宙を浮くも正宗に受け止められた。お姫様だっこ状態だ。
「泉、お前の気持ちはよく分かっている。だがこの様なことは二度とするな。いいな」
正宗は泉にお姫様だっこ状態したまま彼女に厳命した。泉は自分の置かれている状態に戸惑っていたが、周囲に視線を巡らし自分の状態に気づくと顔を赤くした。
「正宗様! 分かりました。分かりましたから降ろしてください」
正宗に解放された泉はそそくさと冥琳の陰に隠れるよう立った。冥琳は苛ついて見えるのは気のせいだろうか。
正宗に呂岱が視線に移すと呂岱は身動き一つしていなかった。
「定公、何故避けようとしなかった?」
「斬られる覚悟がないなら、あのようなことは言いません」
呂岱はあっけらかんと言った。
「そんなことでは長生きできないぞ。現に私が止めなかったら刺されていただろう。先ほどの泉の槍の角度ならお前は間違いなく死んでいた」
正宗は呆れたように言った。
「私は常日頃から自分が納得した主君に仕えたいと思っていました。その結果、死んだのあれば私の寿命はその程度の価値だったということです」
呂岱は語尾を「ます」ではなく「ました」と変えていた。彼女の中で正宗が唯一の主君と主張していることを証明している。
「私が困る」
正宗は片膝をついたままの呂岱の元に駆け寄り彼女の顔を見て笑みを浮かべ言った。
「劉将軍へ仕え初めたら気をつけます。ですが、仕えても劉将軍へ諫言すべきことは諫言させていただきます」
「私の家臣となるのは三週間後だがよろしく頼む」
正宗は急に何か思い出したように相槌を打った。
「定公、お前の真名は教えてくれないか?」
「私の真名は『燕璃』です」
「私の真名は『正宗』だ」
「正宗様、謹んで真名をお預かりさせていただきます」
正宗は燕璃と真名の交換を終えると店の窓がある方向を見て視線を止めた。
「おい。そこにいる二人。隠れていないで出てこい」
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