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真・恋姫†無双 劉ヨウ伝
第140話 呂岱士官する
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は短く答え剣を差し出したまま正宗のことを真剣な眼差しで見つめた。

「そうか」

 正宗も短く答え呂岱が差し出す剣を受け取った。その光景に表情を変えたのは愛紗だった。彼女は急いで呂岱の右側で片膝をつき拱手をした。愛紗が右側に座した理由は正宗が剣を振るっても呂岱に刃を届かせないようにするためだろう。正宗の気質からして呂岱を斬ることはないだろうと思っても咄嗟の出来事で気が動転していたのもしれない。

「正宗様、女将さんをお斬りなるのはお止めください!」

 冥琳と泉は愛紗を一切擁護する様子がない。所詮、二人の中で愛紗は新参者でしかないのだろう。

「そこを退け愛紗。これは私と定公の問題だ」
「劉将軍の仰る通りだ。愛紗、下がっていな」
「いいえ、どくことできません! 元はと言えば私のことが原因です。ならば私をお斬りください」

 愛紗は悲痛な表情で正宗に訴えた。

「愛紗、それほど私が非情な男だと思っているのか? 私は過ちを諫言してくれる人間を決して斬らん」

 正宗は愛紗に諭すように言った。

「申し訳ございません!」

 愛紗は正宗に対して地面に手をつき平伏した。暫らくして彼女は立ち上がり呂岱と距離を取った。

「定公、お前のいきなりの態度の豹変振りには理解できないものがある。聞いていいか?」

 正宗は呂岱を凝視した。

「何なりと」

 呂岱は短く返事した。

「口調の変化は敢えて問うまい。だが」

 正宗は途中で言葉を切るなり辺りに強烈な殺気を放った。濃密な殺気は海陵酒家の外にいる孫権と甘寧に体感できた。外の二人はあまりの殺気に蛇に睨まれた蛙の様に体を硬直させ身動きが取れなかった。甘寧は額に冷や汗をかき焦っていた。対して蓮華は戦場の経験がないため、正宗の強烈な殺気に恐怖と戸惑いがない交ぜになった表情を浮かべていた。

「定公、私がお前を斬る訳がないとたかをくくり、この様な振る舞いをしているのではあるまいな」

 正宗は底冷えするような声音で定公に詰問した。定公は正宗の殺気に臆することなく、正宗の両瞳を真っ直ぐ直視した。

「児戯にて生き延びようとは思いません」

 呂岱は爽やかな微笑を浮かべ淀みなく答えた。正宗は呂岱の様子を凝視した。



 店内に張り詰めた空気が漂っていた。どのくらいの時間が過ぎたのであろうか。時間して数分位であろうが場に居合わせた者には永遠の刻に感じられたことだろう。

 突然、正宗は殺気を抑え込み声高らかに大笑いした。彼の大笑いに安堵の表情を浮かべたのは愛紗だった。泉は呂岱を見て舌を鳴らした。彼女は呂岱が斬られればいいと思っていたのかもしれない。

「定公、私はお前に遺恨など一切ない。この店での日々はなかなか楽しかった」

 正
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