最後の戦い
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らにせよ、やることは変わりがない。幸いこちらに気付いてはいないわけだし、凶器を出す前に決める
二階の外の渡りを走る
ボロいためかギシギシと立った音に気付いた少年がこちらを見るが、もう遅い
そのままの勢いを込めた足でその少年の体幹部を蹴り跳ばした
「くそっ……」
外した。一応当たったは当たったのだが、意識を落とすレベルにはなかったと思われる。踏みこんだとき、足が沈み込まなかったら落とせた
少々たわんでいた足場に運がなかったと思いながらも意識を切り替える。悪態をついていても状況が変わるとも思えないし、ゆらりと起き上がった少年に対する牽制の意味もある
「な、何をする!」
ヒットした脇腹あたりを押さえながら、怒気と殺気の混ざった声を出してくる
「お前が死銃の片割れか?」
罵詈雑言を喚いていた少年がその一言でピタリと止まる。その一言で少年の瞳に光っていた感情が入れ替わる。怒気、殺気から狂気へと
「どうして……」
わかった?と続けようとして少年は俺の顔を見て再び止まる
そして、その瞳の狂気の色が深くなった
「そうか……お前かぁぁぁぁ!!僕の朝田さんに手を出したのわぁぁぁぁ!!」
絶叫。多量の唾と共に吐き出された言葉はまさに呪咀
「殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す、お前なんか、お前さえいなければぁぁぁぁ!!」
興奮してくれればむしろ好都合。こちらとしては攻撃が直線的になり、対処が簡単になる。そう考えていた
「……リン……?」
ミユこと水崎優衣が買い物袋を下げて、向こうにあった階段から上ってくるまでは
「ミユ、逃げろ!」
「はははは、これはラッキーだなぁ!」
とっさにそう叫んだが間に合うはずもなく、あっさりと捕まってしまう。そして、どこから取り出したのか携帯用の注射器をミユの首筋に押しあてる
「こいつの命とお前の命、どっちがいいんだぁ?」
先ほどの興奮は収まり、粘っこいニヤニヤ笑いにとって変わる
「下衆が……」
恨み言を吐いても状況は好転しない
完全に俺のミスだ。一撃で仕留められなかったがために周りを危険にさらしてしまう
つくづく俺は主人公ではないということを思いしらされる
「……リン!……私のことは……いいから……」
久しぶりに聞いたミユのたどたどしい言葉遣い
「うるさい! 黙っていろ!」
「……くぅ……」
腹を殴られた端正なミユの顔が歪む。歯を食い縛って耐える様を見て、俺の怒りのボルテージがMAXまで跳ね上がる
だが、迂闊に近寄ればミユの命はない
どうする……
「……ほら。これで自殺しなよ」
新川が渡してきたのは今、ミユが突き付けられているものと同じ注射器。中には多量の薬
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