雷鋼の目的
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た暁には……」
「暁には?」
「いや、今は知る必要はない。とにかく、これよりお前は『水原 徹』と名乗るだ。よいな」
「ちょっと待てよ!俺には『八神 透真』って名前が!」
「それはお前の名であって、その肉体の名前ではなかろう。戸籍は存在せんし、肉体の方も抹消されておることを確認済じゃ。じゃから、新しい名を名乗れと言うのじゃ。渡辺の祖には、源氏物語のモデルになったと言う『源 融』様もいらっしゃるからな。最初は共通する『透』でよいかと思ったが、『鋼』を継ぐには弱い気がしてのう。どうせなら、同じ読みで強そうな『徹』としたのじゃ。『鋼』を継ぐ『徹』。すなわち『鋼徹』で『鋼鉄』をもじったわけじゃ、強そうじゃろ?」
「そんな理由で、人の名前を決めるなよ!それに水原ってなんだよ!」
「うん、察しの悪い奴じゃな。源を分けただけじゃよ。さんずいは『水』、残された『原』で『水原』じゃ。頼光様の血を受け容れたお前に相応しい姓じゃろう」
「ちょっと待て!『源』をわけたって、洒落にならないんじゃないのか?!」
「うーん、そうじゃな。勘の良い者は気づくじゃろうな。あ、もしかすると、『渡辺』以外の一族の者に狙われるかもしれんのう」
「おいおいおい、冗談じゃないぞ!この上、刺客までくるかもしれないのかよ。ふざけんな!」
「刺客を撃退するのも、よい修行になろう。それにいくら拒否したところで、お前に拒否権はない。もう戸籍を作っちまったからのう。それも、どこに出しても恥ずかしくない正式な戸籍じゃぞ。ありがたく思うがいい」
「テメエ、確信犯だろ!戸籍は感謝するが、洒落にならない名前つけやがって……」
「なんじゃ、まだ文句があるのか。ふむ、それほどまでに言うなら、仕方があるまい」
ほれと言って、透真改め徹に向けて手を差し出した。
「なんだよ?」
「どうしても嫌というなら、新しい戸籍代1億円、耳を揃えて払えといっておるのじゃよ」
「6歳児に1億円なんて、用意できるか!」
「なら、仕方がないのう。お前は、『水原 徹』じゃ、よいな」
「もう、好きにしろよ。ちくしょー、俺はもう寝る」
したり顔で満足そうに頷く雷鋼に、力ない声で返して、不貞寝することがせめてもの抵抗であった。
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