雷鋼の目的
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「いいから答えよ!」…っ、そりゃ無理だろう。手が届かないところに置いてもらうか、弾を抜いてもらわないと無理だな」
「そうじゃろうな。正直、それでも常人には厳しいと思うが、最早お前はそういう存在なのじゃ」
「うん?」
「常人が隣にいるのは困難な化物だということじゃ。当然であろう。お前が持つ異能は、銃など比べものにならん。銃であれば使った証拠は残るが、お前の異能は痕跡など残さぬし、一般的には証明も不可能じゃからのう。大体、悪魔すら殺したり、使役したりできる者がただの人間であるものか。広坊は未だに理解しとらんが、生物の種として人間を逸脱していなくても、我等は常人から見れば立派な化物よ。人を容易に殺せる手段を持つというだけで、それが拳銃であろうと、大砲であろうと、悪魔であろうと、魔法であろうと、相対する人間から見れば差はないのじゃからな」
「それは、そのとおりかもしれないけど……」
透真はそれが真実であることを認めざるをえなかった。超人だろうが、魔人だろうが、サマナーだろうが、異能者だろうが、常人から見れば、立派な化物である。彼らは、力の大小の差あれど、常人からは理解できない超常の力を振るう者なのだから。そして、『ペルソナ』という破格の異能、それも本来この世界にあらざる能力を使う透真もまた……。
「理解せよ、己がすでに只人ではないことを。自覚せよ、お前が無闇に力を振るえば、容易に人が死ぬということを。そして、こちら側に一旦足を踏み入れた以上、戻る道などないとしと知れ!」
「俺は……」
雷鋼の言に透真は、己が甘えていたことを自覚せざるをえなかった。心のどこかで、前世のような平穏で平和な生活を、夢を目指して邁進できる幸福な人生を透真は望んでいた。だが、そんなものは彼自身が異能を望み、邪神の名を呼んだ時点でありえないものとなったのだ。いや、本当は気づいていた。
気づかない振りをしていただけで。遅くとも死が日常茶飯事になってしまった時点で、彼は諦めるべきだったのだ。死んでは蘇生を繰り返し、狂うこともなく地獄のような鍛錬を続ける。絶対の終わりであるはずの死を経験しながらも、それを容易に覆す。それは最早、常人の所業ではありえないのだから。
「お前も広坊と同じよ。大言壮語しておきながら、その実何の覚悟もない半端者。人でいたいと願うならば、最初から此方側にこなければ良いのじゃ」
「………」
「言葉もないか……どうやら、己の立場を理解したようじゃな。では、話を戻すとしよう。儂の目的の一つはな、頼光様の『心血』を儂の代で使いきってしまうことなのじゃ」
「なんでだよ?あんたらにとっちゃ、君主の始祖の血だろ。秘宝ともいうべきものじゃないのか?」
「一面を見ればそう言えるが、先も言った通
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