雷鋼の目的
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があった。それこそが、酒呑童子と頼光様の心臓から流れ出る血液。今や、お前の中に流れる『心血』の正体よ」
「ちょっと待て、頼光の血だけじゃないのかよ!それって、酒呑童子の血も混ざってるだろ。明らかに!」
「頼光様と呼ばんか、この愚か者が!お前の言う通り酒呑童子の血も確かに混じっていようが、頼光様の血が酒呑童子なのに負けるものか!」
「ちょっと待て。あんたらが、主君を美化するのは勝手だが、俺を巻き込むなよ!相手は日本三大悪妖怪『酒呑童子』だぞ。そんな保証がどこにあるっていうんだよ!」
「心配いらぬ。なぜなら、歴代の『鋼』は例外なく心血を受け容れておるからの。他ならぬ儂自身もそうじゃ」
「え、本当に?」
「うむ」
流石に前例があるなら、安心だと胸を撫で下ろしかけるが、最後の爆弾はここで落とされた。
「もっとも、儂は一滴飲んだだけじゃが、お前には残っていた『心血』全てを輸血してやったからのう。ぶっちゃけ、儂にもどうなるか分からんかった。というか、高確率で魂ごと弾け飛ぶか血に呑まれて暴走するかのどちらかと思っておった。正直な話、今日お前が目覚めなければ、殺すつもりでおったからな」
「おい糞爺!テメエ何してくれてるんだ、こら!」
「ぴいぴい騒ぐでない!大体、そうならんように入念な前準備をしてやったのではないか!生活の面倒を見て、修行つけてやる上に、新しい力までくれてやったんじゃ。むしろ、感謝して欲しいくらいじゃな」
「ふざけんな!俺はそんなもの望んじゃいない!」
「ふん、ふざけているのはお前のほうじゃ。儂は儂の目的のためにお前を弟子にするというたのを忘れたか。広坊に言ったことじゃが、お前も聞いておったはずじゃ。それにあの時、こうも言ったはずじゃ。幸せな生を送れると思うなともな。それを承知の上で、お前は儂の弟子であったのではないのか!」
「それは……」
雷鋼の言葉に反論できない透真。確かに彼は、雷鋼の目的の為に利用されることも承知の上で、雷鋼の下で学んだのであるから。また、行く宛がなかったとはいえ、前世の記憶を持ち、さらに『ペルソナ』という破格の異能を持つ透真ならば、一人で生きていくことも不可能ではなかったのだから。それにも関わらず、雷鋼の庇護下でのうのうと生活し、内容はともかく修行までつけてもらっていたのだ。それを今更話が違うなどと、どうして言えようか。
「理解したようじゃな。儂は、何ら恥じることはないわ。大体、お前は己が未だ人だと思っておるのか?だとしたら、それは大きな間違いであると言ってやろう」
「な、どういう意味だ?!」
「のう、一つ聞くが、お前は友人が銃を携帯していたとして、その隣で寝られるか?」
「その問に何の意味が…
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