雷鋼の目的
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……」
明かされる驚愕の事実に透真は言葉もない。
「それが最初の施術だ」
雷鋼の言葉に暗に含まれているものに気づき、驚愕は更に深まる。
「待て、最初だと!それじゃあ、これまでも何度も?」
「その通りだ。いくら魔法でも、失われた血液まで完全に補えるわけはない。ある程度は可能だが、致命傷レベルの出血量までは、不可能だ。その度に儂の血をお前に輸血した。お前は鍛錬の成果で、蘇生から覚醒するまでの時間が短くなった勘違いしていたようだが、それがないとは言わんが、実際には儂の血への拒否反応が短くなっていたに過ぎぬ。そして、この一年間で、お前の血は完全に『鬼斬り』の血に染まり、お前の肉体にも適合した。後は、お前が常人の限界LVまで到達し、単独で悪魔とも戦えるに足る実力を身につけるまで待つだけだった……」
「それじゃあ、あの高速召喚で?」
「そう、あれで時は来た。儂は、前準備が完全に整ったと認識し、気絶したお前に最後の施術を施した」
「なにを、なにをしたんだよ?!いや、待てよ。あんたの血は前準備だといったな。じゃあ、今回輸血したのは……!」
知らぬ内に自身の血が得体のしれないものに変えられ、肉体すらも作り替えられていると聞いて透真は言い知れぬ恐怖を感じた。そして、雷鋼の口振りからすれば、最後の施術はもう終わってしまっている。そう、雷鋼は最初に言ったではないか、何をしたのか。何者の血を己に入れたのかを。
「そう、やることはこれまでと変わらぬよ。ただの輸血じゃ。ただし、輸血するものは、儂の血ではく、我等が祖の主君たる頼光様の心血じゃったがな」
「頼光様って、源頼光かよ?!そんな昔の人の血がよくぞ今まで残ってたな……。いや、そんな事より『心血』ってなんだ?」
「『心血』、それはすなわち心臓の血よ。頼光様はかつて酒呑童子討伐の折、酒呑童子の心臓を貫いたままの刃で、自身の心臓をも貫き、自身の魂をもって酒呑童子の魂を封印されたのじゃ。その時、頼光様より、『童子切安綱』と共に両者の心臓を託されたのが、我が先祖であり四天王筆頭であった『渡辺綱』様よ。綱様は『童子切安綱』にかけられた呪いを心臓と共に兄弟刀に移した上で、『童子切安綱』を頼光様のお子へと託し、自身は2つの心臓の管理人となり、仏門へ入られた。一方で頼光様と四天王の家系にかけられた酒呑童子の呪詛と怨嗟を一身に引き受けられたのじゃ。
そうして、代々渡辺の家系は酒呑童子の呪詛と怨嗟に苦しめられながらも、心臓と呪いの塊となった兄弟刀を守護してきたのじゃ。心臓は時を経るごとに兄弟刀に呪いと共に吸収されていき、一族が引受けた呪詛と怨嗟は、歴代の『鋼』の血と魂によって相殺してきた。
ところが、この約1000年にも及ぶ守護の期間に生じてしまった物
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