第三十五話 月光の下でその十四
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「そうして未来永劫最下位にして欲しいわ」
「本当に嫌いなんだな」
また言う薊だった。
「あのキャラが」
「あのゆるキャラは嫌いっていうかね」
「違うのかよ」
「忌まわしいね」
そちらの感情だというのだ。
「巨人は大嫌いで」
「忌まわしいか」
「そう、どうにかならないかとね」
そのゆるキャラについてさらに言った裕香だった。
「思ってるわ、とにかくね」
「ああ、今はか」
「あのキャラにだけはね」
「会いたくないんだな」
「今どころかずっとね」
本音を出して止まない裕香だった。
「そう思ってるわ」
「奈良県民も大変だな」
「難しいのよ、これが」
「まあとにかく今はな」
薊はとにかく地元のゆるキャラに拒否反応を示す裕香に対して話題を変えることにした。その話題はというと。
「琵琶湖見ようか」
「そうね、それがいいわね」
「ビワコオオナマズ見たいけれど」
菊がこんなことを言った。
「出ないかしらね」
「鯰は底にいるから」
水のだ、これはビワコオオナマズだけのことではない。菖蒲は菊にこのことを話した。
「だからね」
「見られないのね」
「水族館にいるわよ」
菖蒲は菊に答えた。
「あそこにね」
「そういえば学校の水族館にもいたわね」
八条学園の中の水族館だ、世界屈指の規模と収容している動物の数と種類は相当なものだ。
「あの鯰」
「ええ、他の鯰もいるけれど」
そのビワコオオナマズもというのだ。
「あの鯰もいるわ」
「じゃあここで見られなくても」
「神戸に戻れば見られるわよ」
「それじゃあ別にいいかしら」
「いえ、今観たいのなら」
菖蒲は菊にこうも言った。
「琵琶湖博物館に行けば見られるわ」
「博物館で?」
「水族館のコーナーもあるのよ」
その博物館にはというのだ。
「あそこに行けば見られるわよ」
「ううん、それじゃあ」
「面白そうですね」
桜は微笑んでだ、菊の決考えが観たいという方に明らかに傾いているのを見てそちらに後押しをしたのだった。
「では行かれますか」
「皆はどう?」
「いいんじゃないの?」
「ええ、面白そうよ」
向日葵と菫もそちらにあえて向かわせた。
「この遊覧の後時間あるし」
「そこに行くのもいいわ」
「そうね、どうせ暇ならね」
「そうした場所に行くと勉強になるわ」
鈴蘭と黒蘭の姉妹もそちらについた。
そして菖蒲もだ、こう言ったのだった。
「あの博物館には前から興味があるから」
「あっ、そうなの」
「一度行ってみたかったの」
「じゃあ菖蒲ちゃんも」
「行ってみたいわ」
はっきりと言ったのだった。
「あの博物館に」
「じゃあ後は」
「ああ、あたしな」
「私もよね」
菊の視線と言葉
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