第四幕その二
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上には甘い苺のパイ、中にはキーウィやオレンジ、グレープといったフルーツ、そして下にはバウンドケーキがあります。
その真ん中のキーウィを食べてです、先生は言うのでした。
「今皆が言ってることが」
「随分わかりやすく言ってるよね、僕達」
「そうだよ」
ホワイティは老馬の頭の上から言って老婆も彼の言葉に頷いて答えます。
「本当にね」
「誰でもわかる位に」
「それもきつく言ってるよ」
「いつも以上に」
「きつく言っているのはわかるよ」
先生もそのことはわかります。
「けれどね」
「それでもっていうんだ」
「わし等がどうして言っているのかは」
「そこまではなんだ」
「わからないんだ、先生」
「全く、どうなるやら」
「これは本当に覚悟しないといけないかもね」
チープサイドの夫婦も困っています、彼等の周りにいる子供達も。
「家族のことは」
「そっちの幸せはね」
「先生にとっては」
「難しいかな」
こう言うのでした、そしてです。
オシツオサレツも二つの頭で、です。こう言ったのでした。
「そこでわからないのがね」
「先生らしいけれど」
「もっとね」
「そこでもっと前に出て来て」
「それでだよ」
「ゲットしないと」
「だから何で皆そう言うのかがわからないんだ」
バウンドケーキも食べる先生でした、それでトミーと王子に顔を向けて二人に尋ねるのでした。
「何でだと思うかな、君達は」
「まあそれはですね」
「僕達も皆と同じ意見だと思うよ」
二人もいささかバツの悪いお顔で応えるのでした。
「ですから先生は」
「そういうことも勉強してね」
「そうされるべきかと」
「本当にね」
「何が何かわからなくなってきたよ」
先生はまたしても首を傾げるだけでした。
「どういうことか」
「じゃあはっきりと言うけれど」
ガブガブがまた先生に言いました。
「今先生一人じゃない」
「皆と一緒だよ」
先生は穏やかに笑ってガブガブに答えるのでした。
「いつも通りね」
「そのいつも通りが駄目なんだよ」
「そうなんだ」
「そう、まあそうしたことを言ってもね」
それでもとも言うガブガブでした。
「今は仕方ないかな」
「先生気付いてないからね」
王子がガブガブに応えます。
「仕方ないよ」
「そうなるね」
「うん、もうね」
「じゃあ今はね」
「このままだね」
「お茶を飲もうか」
「いつもの顔触れでね」
一向に気付かない先生を見てのお言葉です、そうしてそのお茶の後でなのでした。
先生はまた診察をしました、これでこの日は終わりました。
お家に帰って晩御飯を食べて縁側で皆と一緒に西瓜を食べながらです、浴衣姿の先生は満足しているお顔でこうしたことを言いました。
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