68章 奈緒美、竜太郎の家に招かれる
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竜太郎がそういってわらった。
「おれもそうなんだよね。仲のいい奴には、幸ちゃんって呼んでくれって言っているんだよ。
これって、よく考えれば、オヤジの影響だったんだよね。あっはっは」
竜太郎の隣で、熱いコーヒーをおいしそうに飲みながら、弟の幸平がそういってわらった。
「奈緒ちゃんなら、すぐにわかってもらえると思うんだけど、企業が成長できるか、
業績を順調に伸ばしてゆけるか、どうかの、もっとも重要なキー ポイントって、
いかに人を育てるのかってことなんですよね。いわゆる人材育成です。
経営学の父といわれる、アメリカのドラッカーも、会社にとって、人は最大の資産といっています。
そのせいかどうかは、わかりませんけど、ぼくの見てきたアメリカ人たちは、
おたがいに年齢の差や社会的な地位とかは気にしないし、そんなの関係なしで、
おたがいに、トムとかミッシェルとか、敬称などなしで、
呼び合ってますからね。でも、そんな社会の慣習の根本には、
アメリカって、多くの民族による移民で生まれた国ということもあって、
みんな、おたがいに、友だちじゃないかという、フレンドリーな意識が働いているんだと思うんですよ。
そんな友好的な意識が共有されているんでしょうね。
まあ、ぼくも、たまたま、そんな善良な人たちとしか、出会ってないし、見てこなかったとも、
言えるんですけどね。あっはは。まあ、そんなことも考えたりして、ぼくも会社の社長であっても、
社長とか呼ばれたくないし、会社でも、課長や係長とかの役職名では呼び合わないようにって、
言っているんです。人を育てるということを第一に考えた場合、
そういった垣根は全く不要ですからね。権威や肩書にふんぞりかえっているなんていうのは、
ほとんど会社員失格、人間失格なんですよ。奈緒ちゃんなら、わかってもらえますよね。
奈緒ちゃんをみていると、自分の才能を伸ばすことに一生懸命なのがよくわかるんです。あっははは」
「そんな、お褒めの言葉をいただけるなんて。ありがとうございます!俊ちゃんのおっしゃることって、
そのとおりだと、わたしも思います。」
ソファーにもたれながら、時々笑みを浮かべながら語りかける、エタナールの社長の俊平に、
奈緒美は、きらりと輝く澄んだ瞳で微笑んで、軽く頭をさげる。
「個性を育てたり、才能などの人の強みを最大限に生かしたりすることっていうは、
確かに、簡単にできることではないでしょうけどね。しかし、その人の、ほんとうの強みというものは、
その人らしさ、自分らしさの中にあるものなんですよ。あっははは」
「そうですよね、わたしも、そのとおりだと思います」といって、奈緒美は、うなずく。
「ありがとう、奈緒美ちゃん、でも、ぼくの言ってることは、実
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