第1部
エピローグ
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うか……よし、出航だ」
駆け寄ってきたリンドヴルムの整備班が報告と共に敬礼する。
それに答礼し、出航を告げた。
整備班は駆け足で大和の艦内へ戻って行った。
「大和、いざなぎから離艦。
各艦準備完了後、鹿島鎮守府へ進路を取ってくれ」
「了解」
大和と共に立ち上がり、帽子を被り直す。
と、いざなぎから軽快な音楽が響いて来た。
……遠すめろぎの畏くも 肇めたまいし大大和
永久に栄ゆる日の本の 神武の正気今ここに
こりてぞ成れる浮きつ城……
「大和艦歌か…粋な事しやがるじゃないか……」
「……」
……しこの御楯と畏みて たおれて止まぬ尽忠の
大和ますらお 数二千
心を磨き わざを練り
断乎と守れ 太平洋……
せめてもの手向けなのだろう。
いざなぎだけでなく、付近に集まった艦艇からも歌声が聞こえくる。
……ああ悠久に 伝うべき
八紘為宇の 大理想
行く手をはばむ 敵あらば
無敵の巨砲 雷と吼え
撃ちてし止まん 大和魂……
乗組員だけでなく、技術者や科学者までもが帽子を振って声を張り上げている。
徐々に進んで行く大和から聞こえなくなるまで、大和艦歌は続いていた。
この時、大和が涙を流しながら微笑んでいたその表情だけは、俺しか知らない。
???
同時刻
鹿島鎮守府
鹿島鎮守府中央棟 提督執務室
「……ええ、はい。
此方の準備は既に整っています。
はい…はい……ええ、彼等の返答次第≠ナす」
陽の射す提督執務室。
その部屋に備えられたデスクで、1人の男が受話器に向かっていた。
「深海棲艦3隻については愚息に一任しています。
……ええ、問題はありません。
受け入れも手筈通りに行います」
暫くの沈黙。
脇に立つ艦娘も、柔かな笑顔で黙って主の様子を見守っている。
「……では今後もユリシーズ≠フ情報を最優先でお願いいたします。
はい、わかっております。
……心配は要りませんよ、姉上様=B
彼を信じましょう。
……では、失礼致します……天皇陛下」
男は……神宮司貞晴は静かに受話器を置いて、溜息を吐いた。
「全くあの愚息は……次から次へと問題引っさげて来やがって。
一回シバき倒してやろうか……」
「いいじゃないですか、あの子なりに考えの事でしょうし。
私達にとってもプラスになると思いますよ?」
「そうじゃなきゃ此処から追い出してるよ。
まったく……ああ、胃が痛い…ただでさえ赤城逹の所為でボーキサイト不足なのに、これに大和級と戦艦、正規空母とは……資材庫が鼠の住処になるぞ……」
「でも、これで申し分ない戦力を確保出来ました。
引越し≠フ手も足りるでしょう」
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