空白期 中学編 04 「お嬢様? 達のお茶会」
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見守っていたアリサとすずかに向けてみる。すると見えたのは、呆気に取られているふたりの姿だった。どうやた聞き間違いではなさそうだが……
「シュ……シュテルよ、貴様は今何と言ったのだ?」
「ん……さすがはディアーチェ、よくお分かりで」
「このうつけ、分かってて惚けるでないわ」
「そういうことを言うのなら、そちらも分かっていると思うのですが? 恥ずかしいので二度も言わせないでください」
つまり、聞き間違いはないということだな。……恥ずかしいという言葉を口にするなら、もう少し恥ずかしそうな顔をせぬか。感情を表に出せばもっと人に好かれるであろうに……なんてことを考えている場合ではない!
「シュシュシュテル、き、貴様は自分が何を言っておるのか分かっておるのか!?」
「当然でしょう。分かっていないのに口にしたりはしません」
「そ、そうか……き、貴様は……あやつのことがす、好きなのか?」
「ええ、好きですよ」
こ、こやつ……どれだけ心臓が強いのだ。こうもあっさりとす、好きと言えるとは……。
そ、そうか……シュテルはあやつのことが……。あの本の虫だったシュテルが普通の女子になったと喜ぶべきなのだろうが……寂しくもあるな。
……いや、これは良いことなのだ。それに誰を好きになるのもシュテルの自由。相手があやつならば……あやつならば不満も文句はない。
「ディアーチェ達と同じぐらいには」
「――っ……き、貴様……我の想いを踏みにじって楽しいか!」
「ん、何をそんなに怒っているのですか?」
「怒るのは当然であろう! 貴様、あやつの恋人になると言ったではないか!」
「……? いえ、言っていませんよ」
「嘘を申すな。先ほど言ったではないか!」
「いえいえ、恋人になるとは言っていません。仮の、恋人になりましょうかとは提案しましたが」
強調された『仮の』という言葉に、我はしばし黙り込む。
か……仮の……確かに冷静に思い直すとそのように言っていた気がする。つまり、我が勘違いというか先走りをしてしまったということか。
そのように考えた瞬間、一気に体温が上がった気がした。恥ずかしさのあまり、我は静かに腰を下ろし、顔を見せぬよう俯く。
「シュテル、ディアーチェを弄る楽しさは分かるけど」
「あんまりするのは可哀想だよ」
「私としては……今のは弄っているつもりはなかったのですが」
チラリとシュテルのほうを見てみると、どことなく申し訳なさそうな顔を浮かべていた。本当に弄っているつもりはなかったようだ。
「いや、あいつと付き合ってる振りをするって話をすればこうなるでしょ。というか、何でああいうことを提案できるわけ?」
「それは……第3者と付き合っているとなればディアーチェ達も周りも多少は落ち着くでしょう
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