『彼』
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・・17区は最近、喰種の捕食事件が急激に増えた・・・」
「アイツが・・・『彼』が17区に姿を現して・・・17区は変わった」
喰種は怯え始めた。
私達以外の全く別の物に喰種は怯え始めた。
「17区の喰種は弱い。
強い奴も居るが・・・弱い奴の方が多い。
だから・・・弱い俺達は考えたんだ。自殺者を捕食する方法を」
「ま、妥当だね。
弱い奴は・・・地面に這い蹲って生きるのが似合いだ」
幹凪の余計な一言が喰種を落ち込ませる。
が、幹凪が間違った発言をしたとは私は思わない。
弱い者は強い者に抗わず強い者は弱い者を命令する権利を持っている。
人間社会でも喰種世界でも動物世界でも適用される絶対的ルールは残酷で悲惨だが、強い者はリスクを背負う。
弱者が背負わず強者だけが背負うルール。
そのルールは弱者には理解出来ず強者のみが理解出来る絶対ルールだ。
今の私には理解出来ないルールで昔の私には理解出来たルールだ。
「普通の方法だね。
確かに以前の17区は他の地区に比べれば捕食事件は少ない方だが」
「17区の強い奴は勝手に好きな時に人間を捕食してるんだ。
夜でも朝でも関係ない・・・奴等は自由だ」
「君達は・・・生きた人間を捕食せず。
自殺者だけを捕食して喰っているのか?」
「自殺者以外にも・・過労死・衰弱死。
色々だけど・・・生きた人間は・・・何年も喰ってない」
意外な発言だ。
生きた人間を何年も喰ってない。
人間を喰わねば生きられない生物が死んだ人間だけを食す。他の喰種も目の前の喰種 野田 秀夫の様に死んだ人間を食ってくれれば仕事も楽で良い。でも・・・・喰種が生きた人間を捕食しないなら・・・私達、喰種捜査官は必要ないんじゃないか?
「嘘ポイねぇ〜〜」
幹凪はクインケ『千本桜』を展開、喰種の全体を『千本桜』で覆う。
「嘘は駄目〜だよ?
真実だけを述べてね〜?」
「う、う、嘘じゃない!!
本当だ。俺は・・・何年も生きた人間を喰って、ギャアアアアアアアア!?」
喰種 野田 秀夫の悲鳴が真っ暗な部屋に響いた。
幹凪 黒脊が所有するクインケ『千本桜』の特徴は圧倒的な数だ。
名前通り数は千本。ナイフ形状のクインケが千本だ。
それが「千本桜」 クインケの中で稀で珍しいクインケだ。
「殺傷力は低いんで安心ですね〜。
拷問にも使えるんで尋問課の人達が困った時、俺が手助けするんですよ」
「次に命令を無視した場合、先程の私の言葉だが。
覚えてるか?」
「覚えてますよ。
でも、この状況は構わないでしょ?
嘘か真実が確かめる方法は・・・」
「ギャアアアアアアアアアアア。
痛い!痛い!痛い痛い!!痛い!」
一度に30本程『千本桜』が野田 秀夫に突き刺さる。
腕、足、頭、体中体全体を突き刺した。
「苦痛
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