鬼神
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ーの落ち着きようは奇妙なものだった。
「ここでソワソワしたところで画面の先のシオンには何の影響にもならん」
「だからって・・・」
「それに・・・」
シュタイナーは壁に寄りかかると戦闘中のシオンを見た。
「彼はまだ本気を出していない」
「ッ!それってどういう・・・?」
「正確には出しきれていない。作ってまだ二日足らずのアバターにまだ身体が馴染んでないのさ。恐らく、まだ本調子の半分も出してない」
「そんな・・・」
「まぁ、相手も本気じゃないみたいだけど」
シュタイナーはシオンの戦闘を見ながら目を細めた。
『まだだ、こんなもんじゃないだろ?シオン・・・』
その視線はまるで彼に発破をかけるようなものだった。
〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜
「チィッ!!」
「ッ!」
シオンはザザの刺剣を左肩に掠めるも、追撃を繰り出す。光剣はザザの右腕を狙うも、空を斬る。
距離をとった二人の息は上がり、既に肩で息をしていた。
「クソッ・・・、なかなか、斬らせてはくれないな・・・」
「どうした?もう、限界か?」
「ハッ!よく言うぜ。お前こそ息が上がってんじゃねーか」
とはいえ、戦況はいまザザの方が有利にとなっている。
表情には見せないもののシオンはこの状況を感じ取っていた。
『やっぱ、年期ではアイツの方が上か。悔しいがそれは認めるしかない。あと少し、あと少しでこの身体にも慣れる。それまでもたせねーと・・・』
「何を、呆けいて、いる」
「ッ!」
ザザは既にシオンの懐に入っていた。シオンはガードするも、刺剣
の高速ラッシュにダメージを受けてしまう。
HPは半分を切り、イエローゾーンに差し掛かっている。
再び距離をとるシオンに対し更に距離をつめるザザ、ぶつかり合う光剣と刺剣がオレンジ色の火花を散らす。
「さぁ、見せて、みろ。鬼神の、力を・・・!」
「悪いな、生憎見せる気は毛頭もない!」
「そうやって、また、護れずに、終わる、のか?」
「何?」
ザザは仮面から覗く赤い瞳を不気味に光らせる。
「お前は、誰も、護れない。目の前で、仲間が、無惨に、死んでいく様を、見るだけだ・・・」
その言葉に、シオンは胸が締め付けられる衝動にかられた。
「ッ!お前、その言葉・・・!」
「お前は、所詮、何も、出来ない。何も、『救えない』・・・」
ザザの言葉にシオンはあのときの記憶が甦る。その瞬間、シオンの中の何かが切れた。
「ダマレ・・・」
「ほう・・・」
俯いていた顔を上げるとその
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