6-2話
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に“アレ”を隠している操縦室が…背中のすぐ後ろにまで来ていた。
「い、いかん! ここから先は……」
押されるがままに扉に触れる背中の感触は―――驚くほどに軽かった。
「なっ……!?」
なぜ、鍵がっ……!?
この扉は施錠していて、二度と開けられないようキーは森の中に埋めたはずだ。
それがどうして…!?
「っ…!?」
私はそれを見て血の気が引いた。
無理やりこじ開けられたかのように、壁の一部が破損していて施錠の意味を成さなくなった扉…。
私は今知ってしまった…そして、彼らも見てしまった
そこにある壊れた無線機を。 連絡など出来ないという事実を。
この場において最悪にしてあんまりすぎる事実は、乗客達は憤怒と困惑に表情を歪ませた。
「なんだよこれっ!?」
「どういう事だよっっ!?」
「嘘だったんだな!? 無線が復旧したなんて…救助が来るなんて!?」
「ち、違うんだ! 仕方なかったんだ!」
「嘘つきっっ!! 今更何を言うんだ!!」
彼らは私の言葉に耳を貸さなかった。
理不尽にも矛先を集中させる多くの眼は暴力的なほど敵意に満ちていた。
「違う!! 聞いてくれ、あの時は仕方なかったんだ…!」
「黙れえぇっ!」
ゾブリ、と厭な感触と共に腹が焼けた。
「っ…が、ぁ……!?」
頭まで突き抜けるような痛みがきた。
熱は強烈な痛みと変わり、腹から液体が漏れるのを感じた。
何があったのか理解するのが遅れて…自分の腹部に突き立つモノの存在に気付いた。
これは……私に刺さっているのは……。
「な、ナイフっ…!?」
「き…きゃああぁあ!?」
「だ、誰っ!? 誰か刺したの!?」
ぁあ……なんて、痛いんだ。
ナイフが……私の腹にナイフが刺さっている……一体なぜ? なぜ私を……?
腹に突き刺さっているナイフの所に神経が集中しているかのようだった。
血管を断ち、臓器を破り、深く突き立てられたナイフは意識が途切れてしまいそうほど激痛が感覚をスパークした。
激痛に足が崩れ落ち、傷口から血が流れて赤い水たまりを作る。
周りは倒れ伏した私を見て動揺の声を上げた。
「お、おいっ! どうするんだよ、なんで刺し―――!?」
「ちきしょう! もうお――――、――!!」
耳は音を拾わなかった。
痛みで感覚がおかしくなっていってる。
痛くて…痛くて…たまらないのに、血が抜けていって感覚が麻痺していくようだった。
助けて欲しい…重い責任を課せられてそれから逃げ出せず、こうしてナイフを突き立てられて放置すれば
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