暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
少年の正体
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よ、マジんなっちゃって、馬鹿みたい。ここで人を殺したってホントにその人が死ぬ証拠ないし。そんなんで、現実に戻った時罪になるわけないわよ。だいたい戻れるかどうかも解んないのにさ、正義とか法律とか、笑っちゃうわよね。アタシそういう奴が一番嫌い。この世界に妙な理屈持ち込む奴がね」

ロザリアの目が狂暴そうな光を帯びる。

「で、あんた、その死に損ないの言うこと真に受けて、アタシらを探してたわけだ。ヒマな人だねー。ま、あんたの撒いた餌にまんまと釣られちゃったのは認めるけど……でもさぁ、たった二人でどうにかなるとでも思ってんの………?」

唇がきゅっと嗜虐的な笑みを刻んだ。

掲げられた右手の指先が、素早く二度宙を扇いだ。

途端、向こう岸に伸びる道の両脇の木立が激しく揺れ、次々と人影を吐き出した。

シリカの視界に連続していくつものカーソルが表示される。

ほとんどが禍々しいオレンジ色だ。

その数───十。

待ち伏せに気付かず、まっすぐ橋を渡っていたら完全に囲まれていただろう。

新たに出現した十人の盗賊は、皆派手な格好をした男性プレイヤーだった。

全身に銀のアクセサリーやサブ装備をじゃらじゃらとぶら下げている。

男達はにやにやと笑いを浮かべながら、シリカの体にねばつくような視線を投げかけてきた。

激しい嫌悪を感じ、シリカはレンの小さな体の陰に隠れた。

「れ、レンくん……人数が多すぎるよ。脱出しないと……」

「アハハッ、大丈夫だよー。僕が逃げろってゆーまでは、そこで結晶を用意して見てればいーよ」

あっけらかんと笑い、レンはてくてくと橋に向かって歩き出した。

シリカは呆然と立ち尽くす。

いくらなんでも無茶だ。第一、レンはまだ武器を装備してない、そう思ってシリカは堪らず大声で呼びかけた。

「レンくん……!」

その声がフィールドに響いた途端──

「レン………?」

不意に、賊の一人が呟いた。

笑いを消して眉をひそめ、記憶を探るように視線をさ迷わせる。

「ガキで、真っ黒なマフラー……真っ赤なコート………《冥王》………?」

人が見たら、お前大丈夫か?と言われそうなくらい急激に顔を蒼白にさせながら、男は後ずさった。

「や、ヤバイよ、ロザリアさん。このガキ…六王の…め、《冥王》だ……」

男の震える声を聞き、残りのメンバーの顔がさっと青ざめた。

驚愕したのはシリカも同じだった。

何故なら、六王と言えばアインクラッドで最強の六人のプレイヤーのことだ。

そして、その中でも《冥王》と言えば

アインクラッド史上最悪のPKK(プレイヤーキルキラー)の名前なのだから。
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