第六章
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「そういうことだね」
「そうみたいね、けれどね」
「けれど?」
「私も皆もね」
テレサだけでなくだ、彼女の親戚達皆もというのだ。
「嫌味は嫌いだけれど」
「それでもっていうんだね」
「仲良くしたいから」
「それじゃあ」
「祐也の親戚に紹介して、私とね」
「皆もだね」
「ええ、そうして」
こうだ、祐也ににこりとして言うのだった。
「お願い出来るかしら」
「うん、それじゃあね」
「今からね」
テレサは祐也に笑顔で答えてだ、そうしてだった。
自分から親戚達のところに行ってだ、こう声をかけた。
「あの、いいかな」
「あ、ああ」
「何かしら」
「この人がね」
まずはテレサを手で指し示して言う。
「俺の結婚する人で」
「宜しくお願いします」
頭を下げてだ、テレサも挨拶をした。
「二人で幸せになります」
「あ、はい」
「そうですか」
「うちのお店に来てくれたら」
テレサはまだ戸惑っている彼等にさらに言った。
「その時はおもてなししますので」
「おもてなし、ですか」
「そちらで」
「ですから是非いらして下さい」
「スペインにもね」
「来てくれます?」
テレサの親戚達もだ、たどたどしい日本語であるがそれでも明るい笑顔で祐也の親戚達を囲んで言った。
「そうしたらおもてなししますよ」
「スペインのおもてなしで」
「堅苦しいことは一切抜きで」
「楽しんでいって下さい」
「何かな」
「そうね」
その彼等の明るさを見てだ、最初は戸惑っていたが。
彼等の飾りっけのない気さくさにも触れてだ、祐也の親戚達も言うのだった。
「悪い人達じゃないのな」
「そうよね」
「スペインの人達も」
「特に」
「それじゃあ」
「普通に」
付き合おうと考えだしていた、そして実際に。
結婚式の後のパーティーでだ、一緒に酒を飲んで美味いものを食べているうちにだ、祐也が言うには他所者に排他的な彼の親戚達もだ。
酒の力でリラックスしてだ、しかもテレサの親戚達と話して一緒に楽しくやっているうちにだった。彼等もまた。
かなり明るくなってだ、こう言うのだった。
「いやあ、いい人達だな」
「スペインの人達って」
「最初は怖いって思ってたけれど」
「他所の人達だしね」
京都以外、しかも彼等には馴染みのない外国の人達だからだ。
「それがな」
「これが案外ね」
「気さくで明るくて」
「楽しい人達よね」
「さあさあ飲んで下さい」
「そして食べて下さい」
そのテレサの親戚達も彼等に言う。
「賑やかにいきましょう」
「折角のお祝いですから」
こう言って彼等に酒に馳走を進め一緒に遊ぶのだった、その一同を見て。
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