第一章
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双子星
その国には二人の将軍がいた、しかもこの二人は兄弟だった。
兄の名をソドムという、彼は百戦すれば百勝する名将だった。勇猛であり自ら剣を振るい戦場で多くの勝利を手に入れて来た。
弟の名をゴモラという、彼は工作に秀で多くの攪乱や暗殺をしてきた。二人はそれぞれの働きで国家に多くのものをもたらしてきた。
その二人にだ、王は言うのだった。
「そなた達はどう思っているのだ」
「どう思っているかとは」
「どういうことでしょうか」
「うむ、ソドムは戦場で戦いだ」
そして、というのだ。
「ゴモラはその裏で戦っているが」
「そのことについてですか」
「我等はどう思っているか、ですか」
「そうだ、ソドムは名将と言われているが」
彼はそう言われて讃えられている、国の誉れとさえだ。
「しかしゴモラはな」
「私はですね」
「その資質や功績は評価されている、余もだ」
王自身もというのだ。
「そなたには感謝している、しかしだ」
「戦場で戦っていないと」
「だからだ、御主の功績は人に知られにくくだ」
そして、というのだ。
「あまり人に好かれはしない」
「暗殺等も含めて」
「どうにもな」
「そうです、しかしです」
ゴモラ自身も言うのだった。
「それが私の務めなので」
「果たすだけか」
「そうです」
こう王に答えるのだった。
「私はそれだけです」
「不満はないのか」
「ありません」
はっきりとだ、ゴモラは王に答えた。
「務めを果たし国の為になるのなら」
「それで、か」
「構いません」
これがゴモラの返答だった。
「全く」
「そう言うか、しなしな」
「私の評価はいいのです」
「一向にか」
「陛下と我が国、そして国民達が幸せになれば」
それで、というのだ。
「構いません」
「ではこれからもか」
「はい、私は攪乱や工作で」
戦場で行わない戦いで、というのだ。
「勝っていきます」
「そうしていくか、ではな」
王はゴモラの言葉をよしとした、そうしてだった。
二人に様々な戦いを命じ勝利を得させていた、二人は国家になくてはならない存在だった。しかしそれでもだった。
ゴモラはその名を知られず知る者も言うのだった。
「軍人は戦場で戦うもの」
「工作のみというのはな」
「どうもだ」
「よくはない」
「それは軍人ではない」
こう言うのだった。
「ゴモラ将軍は優れてはいる」
「しかし軍人として正しいのか」
「攪乱や暗殺ばかりで」
「それが軍人なのか」
「軍人としてあるべき姿なのか」
こう話すのだった、しかしゴモラは黙々と働いていった。そしてだった。
ある日だ、兄のソドムと共に王に呼ばれてだ、こう命じられ
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