第六章
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第六章
「いいからな。あの大学生には何があってもな」
「受かってもらうんですね」
「ああ、そうするぞ」
こうして二曹は三曹に協力することになった。無論三尉とも話をして手柄は彼のものになるようにしたうえでだ。そのうえで話をしていってそれで。
様々な説明や事前の準備の手配等をしてテストがあり終わってみるとだ。彼は合格した。二人はこのことをささやかに居酒屋で祝った。駅前の赤提灯である。
そこでビールのジョッキで乾杯してだ。焼き鳥を食べながら話をするのであった。
「やってくれましたね」
「ああ、やってくれたな」
二曹はビールを飲んでから三曹の言葉に応える。二人共もう赤ら顔である。
「面接も通ったしな」
「意向調査書も来てますよ」
「じゃあ入隊間違いなしだな」
「はい、本人もそう言ってくれています」
二人にとっては最高の流れである。
「ですから」
「そうか。やったな」
二曹は満面の笑みで述べた。
「御前これ大きいぞ」
「ええ、大きいですよね」
「そうだよ。かなり大きいぞ」
その笑顔で三曹に話すのだった。
「しかしな。入隊してからが大変だからな」
「ええ、そうですよね」
三曹は二曹のその言葉に頷いた。そしてこう言ったのだった。
「私も二曹には随分としごかれましたし」
「おいおい、俺そんなにしごいたか?」
二曹は彼の言葉に今度は顔をかなり崩してきた。そのうえでの言葉だった。
「俺かなり優しいだろ」
「ええ、優しいですよ」
それは事実であった。二曹は実際にかなり心優しい。温厚な人柄としても通っているのだ。
「柔道の時でもよく教えてくれましたし。まずは怪我をしないことから」
「怪我をしたら何にもならないからな」
「私の学校じゃ受身知らない生徒に床で背負い投げ浴びせた教師がいますしね」
「おい、ちょっと待て」
三曹の今の言葉を聞いてだ。二曹の表情が一変した。さっと青くなったのだ。
「受身を知らない生徒に床でか!?それは本当か!?」
「ええ、しましたよ」
「そいつ何やったんだ?喧嘩か?それとも煙草か?」
「少なくともそんなことは絶対にしない奴でした。何か部活にあまり来ていないっていうので気に入らなかったとかそういう稽古だとか」
「そんなのが理由になるか。稽古でも何でもないぞそれは」
二曹はその教師がしたことを全力で否定した。
「怪我じゃ済まないだろ。下手したら死ぬぞそれは」
「けれどその教師何もお咎めなしでしたよ」
「自衛隊だったら一発で警務が来るな」
「来ますよね、確実に」
「俺が現場見たらそいつ止めて一発で警務を呼ぶ」
二曹は断言したのだった。
「どんな理由でもそんなことする奴がいてたまるか。柔道をやる資格がない」
「その教師剣道の部活でやったんで
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