異なる物語との休日〜クロスクエスト〜
休日のD
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「ああ……疲れた……」
温泉に癒されるために入った筈なのに、謎のガーゴイルの襲撃によってどっぷり疲れてしまった。もっとも、かの《白亜宮》騒動以後、セモンの体は肉体的疲労を蓄積しない超人的な存在と化してしまったので、疲労といっても精神的なそれになるのだが。
なにより不運なのはリュウだ。相変わらずの幸運を発揮してガーゴイルとの戦闘は回避したものの、彼はそのまま天然サウナとなった洞窟の中に生き埋めとなり、ようやくガーゴイルがもとの位置に戻って戦闘が終了した頃には、すっかり逆上せてしまっていたのだ。現在はハリンが団扇で扇いでいる。というかハリンの女子力が高い。さすがSAOの良心。
さて、そんなわけで現在男子組は、思い思いにだらだらしながら女子組が温泉から上がってくるのを待っているのだが――――
「「……来ない」」
理音とアツヤの銀髪コンビが、口を揃えてぼやいた。理由は単純明快である。すでにセモン達が風呂から上がってから三十分近く経過しているのにもかかわらず、いまだに女子組が上がってくる気配が一向にないからだ。
「まぁ……女の子は風呂長いって言うしな」
キリトが苦笑しながら言う。
「って言ってもなぁ。さすがに三十分も待たされてると暇だぜ」
「良いんじゃないか? 楽しんでるんだろうし」
VSガーゴイルで疲れ切ってしまったメテオがしかめっ面。来人が苦笑い。さすが年長者。セモンもあれくらい懐の広い人間になりたい。
「だろーなぁ。性格的に結構はやく上がってくると思うんだけどな、詩乃のやつ」
今のは理央だ。さすが、長い付き合いをしているというだけあって、恋人の内面はしっかり把握しているらしい。
それに対して、ゼツがうんうんと頷く。
「分かる分かる。遊んでんのはうちのリナだろうしな」
――――一体何をしているというのだ。
内心で苦笑するセモン。
まぁ、別にコハクがなかなか上がってこないことは、セモン達にとってそんなに問題でもない。リュウにはまだ休息を取ってもらっていた方がいいだろうし、コハクには心の底から楽しんできてもらいたいと思う。
問題なのは――――ここに、暇になってくると大問題を引き起こしそうな、『何でもできる男』がいるからである。
「そうだ! 暇だっていうなら、卓球大会やろうぜ卓球大会!!」
「……Why?」
予想通り、その『何でもできる問題児』……雷斗が、なぜか一台だけ設置されている卓球台を指さして言った。
「いや、温泉旅館って言ったら卓球だろ。お約束だろ? お分かり?」
「そう言う問題じゃないと思うが……まぁいい。スポーツなら余裕だ。やってやるぜ!」
ジンが乗り気になった。「そう来なくっちゃな」と笑う雷斗。
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