異なる物語との休日〜クロスクエスト〜
休日のD
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アツヤが眉をしかめて呟く。
彼がそう指摘する通り――――今、雷斗とキリトは、両手にひとつずつラケットを握っていた。ルール上はあり得ない装備だろう。だが、あの二人ならば使いこなしかねない。
「それでは……試合開始!!」
決勝戦の審判役を買って出たハリンが、腕を振り下ろす。
「どぉりゃぁぁぁぁッ!!」
ズカァン!! という条規を逸したサウンドと共に、ボールがキリトに向かって放たれる。キリトはそれを、二本のラケットを交差させて弾き返した。あれは、二刀流ソードスキル、《クロス・ブロック》の構えだ!!
「せぇぃ!!」
バァン!! という音と共に、ボールが弾き返される。
「何っ!!」
それはコートの角にあたり、あらぬ方向へと吹き飛んで行った。キリト、一点先取。
因みにこのボールが、休んでいたリュウの頭にぶち当たって「ぐっはぁぁぁぁッ!?」と彼が絶叫したりしたのだが、誰も気にしなかった。マジ不運。
「まずは一点、だな」
「やりやがったなこの野郎……だがッ!!」
雷斗が素早くボールを放つ。その速さ、光のごとし。
「何っ!?」
「へへっ、どうだ!」
ライト、一点取得。キリトも咄嗟の事に反応し切れなかったのだろうか。
「……面白い! 此処からは本気で行くぞ!」
「ククククッ、そりゃぁこっちの台詞だぜ!! かかってこいやァ!!」
何か雷斗の台詞が悪役っぽいのはこの際無視する。
――――そこから先は、形容するならこれらの言葉に尽きるだろう。
「ど う し て こ う な っ た」
「俺の知ってる卓球と違う」
「おい聞けよ。何か変な音出てるぞ」
まるでSFのような音を迸らせながら、神速で振るわれていく二刀……もとい二ラケット。すでに繰り出されているのは卓球のスマッシュではなく、SAOのソードスキル。
そこには、かつて多くの人々に愛された『ピンポン』の姿は、既になかった。
――――卓球? ああ、あいつは良い奴だったよな……。
「うォォオオオオオッ!!」
「ぜぇぁぁぁぁぁぁッ!!」
世界の常識をはるか彼方に置き去りにして、漆黒の剣士……じゃなくて球児(?)達が攻防を続ける。ちなみにラリーがはじまってからすでに十分近く経過しているが、いまだに点数は1―1。つまり変動なしである。良く続いてるな、とむしろ感心してしまうほどだ。
だが、まだまだソードスキル・スマッシュ・ラリーは終わることを知らないように見える。一体いつまで続くんだ……この場にいる全員がそう思い、天を仰いで、セモンが「しまった、ここの神はあの《主》だ」と気付いてしかめっ面をしたあたりで――――
事態が、大きく動いた。
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