二十三話:決別の選択
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俺はそんなことはしていない。現実を見つめて過去の為に今を捨てようと決めた。
自分の罪のせいで多くの人が犠牲になったことも理解している。
俺はずっと罰を受け続けている。
逃げようとなんてしていない。
また、生きる意味を取り戻して俺が俺である為に生きるだけなんだ。
それなのにどうして俺が逃げているなんて言うんだ。
「あなたの考えていることは大体分かるわ。
……だから―――それが逃げているって言うのよ!」
それが逃げている……? 現実を見つめて過去の為に今を捨てようと決めたことが。
自分の罪のせいで多くの人が犠牲になったことも理解してずっと罰を受け続けている。
生きる意味を取り戻して生きようとしていることが……逃げている?
俺は訳が分からずに茫然と彼女の赤い瞳を見つめる。
そんな俺の視線に対して彼女は真っ直ぐ、目を逸らさずに受け止める。
黒歌と決して目を合わせようとしなかった俺とは違って。
「あなたがしていることは辛い現実から目を背けて楽しい過去を見ているだけ。
自分の罪を償うなんて言って、罰に甘んじて償う心を忘れているだけ。
生きる意味を探すことを諦めて以前の生きる意味にすがっているだけよ!」
一切の淀みもなくミラの口から述べられる、俺の本当の心の内。
ああ……ああああああっ! そうだ……俺はミラの言う通りのことをしていただけなんだ。
みんながいない現実が怖くて、認められなくて前を向くのをやめて目を背けていただけだ。
罪を償うなんて言って自分に罰を与えて罰せられていることに安心していただけだ。
生きる意味がもう見つかるはずがないなんて勝手に決めつけて過去に縋り付いていただけだし、罪を犯した俺が生きていいのかと悩むことで生きることから逃げていただけなんだ。
そうだ…そうだ…っ、俺は―――逃げていた。
現実から、罪から、生きることから、全てから逃げていただけなんだ。
自分を守る為に、正当化するために、必死に目を背けて。
出来るだけ明るく振る舞って、そんなことを考えないように必死に逃げていただけなんだ。
俺は…俺は……なんて醜い存在なんだ…っ。
「あなたって本当に自分勝手よね。勝手に人の世界を壊して、勝手に私を助けようとして、
勝手に一人で苦しんで、勝手に……幸せを手放して」
「ミラ……」
「そんなことで私やエルやユリウスが納得すると思っているの!?
罪を償いたいならそれを背負ったまま幸せになってみせなさいよ!
自分だけが逃げてるんじゃないわよ!」
俺の事を泣きながら怒鳴りつけてくれるミラ。俺はそんな彼女に近づき強く抱きしめる。
ああ……温かいな。何度も何度も後悔した想いがまた蘇ってくる。
どう
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