第4話「念には念を入れておく」
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「40秒で支度しな!!グズは嫌いだよ。こっちも忙しいんだからね!!」
廊下での一件後、お岩の口調は荒々しいものに一変。
『客』に対する優しさはなくなった。というより『客』として見られなくなった。
銀時は投げ出された旅館の制服に仕方なく着替えるが、現在の状況が全く不明である。
「お登勢の奴なかなかイキのいい二人をよこしてくれたじゃないかい。他の奴らはてんでダメだっね。とり憑かれるようではこの仕事はやっていけない」
「……いや何を言ってんだよ、仕事って……」
【女将、女の方は支度できたよ】
「ギャアアアア!!」
この宿に来て何百体ものスタンドを目撃した。だが拒絶反応があるせいか、どうにも慣れない。
壁からぬっと現れた女の幽霊にお岩が柿ピーで昼間のように餌づけしていると、仲居姿に着替えた双葉が遅れて部屋に入ってきた。
従業員が揃ったのを確認したお岩は、気を引きしめて新入りの指導を開始する。
「ギン、フゥ。ここでは本名を語るな。名とは『魂』と『肉体』をつなぐ鎖。奴らに知られれば、あっちの世界に引きずり込まれるよ」
「いやもう既に兄妹揃って変な世界に引きずり込まれてるんだけど」
「それ以外に気をつけることは?」
「コイツを持っていきな」
お岩は棚から取り出した特大サイズの柿ピー袋を二人に投げ渡した。
「そいつがあれば大概の霊は言うことをきく。やりすぎるんじゃないよ。仕事に支障が出るからね」
「はぁ?だから仕事って……」
「わかりました。女将殿」
「女将でいいよ。わかったんならさっさといきな。グズは嫌いだよ」
一方的に押しつけられるお岩の言葉を何ら抵抗なく受け取る。そして珍しく丁寧語で応答する双葉は、冷めた表情のまま部屋から出ていく。
対する銀時はお岩の説明の意味も全くわからず、混乱した頭で双葉を追いかけた。
仲居姿に着替えた双葉は髪型もきれいに整っていた。普段ダラリと下がった前髪は桜のピンでまとめられ、彼女の端正な顔立ちがより表立っている。加えて豊富な胸からどことなく醸し出される色気。一見すれば遊女のよう。だがおおっぴらになった端正な顔からは、やはりいつもの無愛想な表情しかない。
「おい、一体どーなんてんだ?」
「だから、私たちはこれからここで働くんだ。幽霊相手と商売だ」
「幽霊言うな、スタンドだ!ってスタンド相手とォ!?」
「兄者知らなかったのか?」
「知るか!つかお前知ってたのかよ」
「いいや。私もさっき幽霊……」
「スタンドだ!」
ビシリと突きつける撤回に短い溜息をついて、双葉は話を続けた。
「……スタンドから聞いた。まぁ、ここはマニアの間じゃ有名な霊界スポットだから噂は聞いてたが」
世間的に知られていないが、ネット上では『あの世とこの世の狭
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