第4話「念には念を入れておく」
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屋はどこだ」
仕事の先輩に対しても、いつもと変わらない無愛想な態度で双葉はレイに問う。
【UNOしてる仲間の部屋で寝な。他の部屋はお客さんでいっぱいだからね】
「冗談じゃねーぞ!閣下の横で寝られっか。蝋人形にされるわッ!」
【心配すんな銀さん。俺だっているんだから】
肩に手をのせ慰めるのは、ふわふわと浮遊する半透明の長谷川。
「余計寝れるかァァァ!」
長谷川の手を振り払って銀時は双葉に向き直る。だが彼女は先に部屋へ戻り始めていた。また幽霊に囲まれそうになって、銀時は慌てて妹を呼び止めようとした。
「ちょ、待てふた―」
【ギン!】「兄者!」
二人の女性―うち一人は幽霊だが―に怒鳴られ、銀時の声は遮られた。それが結果的に良かったのだが、怒鳴られた本人は訳がわからず頭に疑問符を浮かべている。
みかねたレイは再び彼の眼前に迫った。
【言われたはずだよ。幽霊に名前を知られたら、あの世にひきずりこまれるって。この意味わかるね?】
その一言で銀時は悟った。さっき自分がしようとしたのは、妹を殺そうとしたのも同然だ。普段名前で呼んでるから無意識の行動だったとはいえ、取り返しのつかないことをするところだった。
「わーってるよ。……まぁ、ありがとな」
【おや意外と素直なんだね。可愛いじゃないか】
目の前で笑われ、銀時は言い淀んでしまう。
その様が余計おもしろいのか、レイはまた微笑をもらした。
「スタンドッ」
さっきよりも強みのかかった低い声がレイの微笑を止める。
【だからレイよ。フゥ、あんた名前覚える気あるの?】
溜息をつきながらレイは聞くが、双葉は答えずそのまま廊下を歩いていく。
追いかけた銀時は先頭に立って進む勇気はないため、妹の後ろにひっついて歩いた。
「……たくなんでこんな目に……」
「………」
「あのお登勢温泉行って来いなんておかしいと思ったら、俺たちを身売りしやがったな。しかもスタンド温泉だとォォ」
「………」
「フザけんじゃねェ。こんな地獄みてェなトコいられるかっての」
「………」
「ババァ覚えてろよ。帰ったら絶対ェ倍返しで復讐してやっからな」
「………」
「おい、フゥ。一人じゃ寂しいだろ。じゃあ一緒に寝てやろうか」
「………」
「何か言え!寂しいだろうがァァ!!」
「………」
だんまり。
いくら話を振っても、双葉は黙々と歩き続けるだけ。
そんな彼女の肩を掴んで振り向かせたが、返ってくるのは突き刺さるような視線。そして沈黙。
この態度は明らかに――
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「オメーなに怒ってんだ?」
冷めた顔は変わらない。
だが幼少からずっと一緒だった銀時にはその微妙な違いがわかった。意外にも双葉は怒るとす
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