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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第4話「念には念を入れておく」
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「……すんません。見栄張ってました」
 結局、冷えた微笑に銀時は降参するしかなかった。

*  *  *
 
 新入りの指導が終わったお岩は、生前から仙望郷に仕えるスタンド―レイに次の指示を出す。
 近日中湯治に来る徳川家康公を迎える準備で、仙望郷は大忙しだ。スタンド不足のため生身の人間を手配したが、新入りの二人はかなりの霊感を持っている。
 本人達に自覚はないようだが、それなら女将として思うがままに使わせてもらうまで。
【ところで女将。コイツどうするんだい?】
 レイの横でフラフラと浮遊するスタンド化した長谷川。
 スタンドにとり憑かれ拒否反応が起きない限り、生きた人間がスタンド化することはない。生きた人間の幽霊(スタンド)―つまり『生霊』である。
 だが例え拒否反応が起きても、実際に『生霊』としてスタンド化することはめったにないことだ。誰かへの相当な怨念か、根強い想いがない限り。
 しかし長谷川にあるのは強力な負の念。負の念が強ければ強いほど、向こうの世界に引きずり込まれやすい。だが気絶しただけでスタンド化してしまうとは珍しい。今まで多くのスタンドを扱ってきたが、生霊を手にするのは初めてのこと。
 しかし負の念から生まれた生霊だとしても、スタンドはスタンド。使えることに変わりはない。
 長年の経験と積み重ねた知識がお岩にそう判断させた。
「かまわないよ。あの新入りたちと一緒にここのイロハを叩きこんでやんな」

 結果として、それがお岩の――仙望郷の運命を大きく分ける行動になる。

*  *  *

 銀時と双葉、そしてスタンド化した長谷川は、レイから旅館業の作法を一通り教わっていた。
 客に失礼がないのを第一に、後は他のスタンド従業員達の真似ごとをしていればいいとの事だった。
 風呂掃除や食事運びなど幾つか雑用をさせられ、切のいい時間で今日の仕事は終了となった。
【明日も仕事はたくさんあるから今日はゆっくり休みなよ】
「ゆっくりできねぇよ。そこら中スタンドだらけでウンコ漏れそうだよ」
 この状況にまだ納得できない銀時が文句をもらす。諦めの悪い男にレイは淀んだ目を向けた。
【ウンコが漏れそうなのはあんたがヘタレなだけよ。あんた本当に女将が選んだ助っ人?そんな調子じゃここでの商売勤まんないわよ】
「化け物にサービスできっかぁぁ!」
【なら慣れるまであたしがみっちり叩きこんであげるわよ】
 スゥーっとレイと銀時の距離が一気に縮まる。目と鼻の先にまで迫ったスタンドに銀時は声を失い、その場で硬直してしまう。遠目からすれば今にも唇を交わしそうな危うい体勢だ。
 もっとも本人たちにそんな自覚はないだろうが。
「おい、スタンド」
【レイよ】
 いつもよりやや低い声が二人の体勢を崩した。
「寝る部
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