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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第4話「念には念を入れておく」
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間』『冥界の入り口』 と霊界スポットの一つとして名が挙がっている。
 ただし都会から遠く離れた土地、山々に阻まれた旅館、一日に一度のバスという行き来も非常に困難な場所であるため、仙望郷を訪れるマニアもいない。と双葉は語る。
 そうでなくても山々を覆う強力な磁場と霊圧が結界のようなものを作り出している。そのため生身の人間はまず山に入れない。
 ゆえに仙望郷を訪れるのは幽霊(スタンド)のみのはずだった。
「つーかお前、その……『スタンド』とか信じてねーんじゃなかったの?」
 夏にとある依頼で、銀時と双葉は真夜中の廃病院を探索することになった。その廃病院ではいくつもの怪奇現象が発生し、そのたびに銀時は絶叫を上げていた。だが双葉は怖がるどころか、動揺すらしていなかった。何を見ても冷めた表情で科学的なことを言ってはサラリと流していた。
 あの時の怪奇現象はかぶき町の子供たちの仕業だったが、この温泉旅館は違う。
 ここにいるのは正真正銘本物の幽霊(スタンド)だ。廃病院のように科学的根拠は通じない。
 しかし本物を目の当たりにしても、双葉は否定も動揺もせずあっさり受け入れていた。
「誰がそんなこと言った。そこにいるならいる、それだけだ」
「怖くねーのかよ」
「可愛いではないか」
「どこがァ!?」
 突拍子もない発言に銀時は目を丸くする。
 実は可愛いもの好きと女性らしい一面を持っている双葉。しかし彼女が『可愛い』と思う許容範囲は幅広く、普通に可愛いものから不気味としか思えないモノまで可愛いと思うズレた価値観の持ち主である。
 ちなみにエリザベスや鬼の形相の屁怒絽を『可愛い』と思っているようで、双葉のお気に入りらしい。
「どこって、フワフワしてるとこや卑屈に歪みまくった丸顔とかスタンドにビビる兄者とか黒っぽくて透けてる円らな瞳とか」
「おいィィ!今俺入ってたろ。テメェ楽しんでたのか。俺がスタンドでグルグルなってるとこ楽しんでたのか!?」
「とにかく怖いとは思わないな。私は兄者とは違う」
「お、お、俺だって怖くねーよ。お前くだらねー見栄張ってたって身体に毒だぞ。お、俺がスタンドの手ほどきしてやろうか?実は俺スタンド使いだったんだよ。あ、でもスタンド使うの久しぶりだし、勘取り戻すまで待ってくんない」
 明らかに見栄を張ってるのは銀時で、双葉はそんな兄を傍観していた。いつもならここで妹の冷めたツッコミが入るが――
「そうか。なら手ほどきの一つでも教えてもらおうか」
「え゛?」
「勘を取り戻さなくたって、定義ぐらいは教えられるだろ」
 兄のついた言い訳――もとい『嘘』に珍しくのってきた。大真面目に聞いてるのか、銀時に合わせた彼女の冗談なのか。その本意がイマイチ掴めない。
 しかし彼女が浮かべる微笑は、銀時にある種の圧迫感を与えていた
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