暁 〜小説投稿サイト〜
エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十六話 決戦前のコンマゼロ(後)
[3/3]
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
ハ・ミルにいた時は、いつも一緒にはいてくれなかったけど。思い出したから。
お父さんとお母さんのために、あの日泣いてくれたジャオさん。
小さなわたしといっぱい遊んでくれたジャオさん。
優しくないわけがない。
「エリーゼは親御どのによう似て、善い子だのう」
うれしそうで、かなしそうな、笑顔。なんだか、見てるわたしのほうがさびしくなっちゃう。
「エリーゼ。やはりあの連中と行くのか?」
シャン・ドゥに帰り着いてから、ジャオさんがわたしに聞いてきた。
「はい。行きます」
自分で意識したわけじゃないけど、するっと言葉が出た。
なんだ。わたし、もうとっくに心の中でどうするか決めてたんだ。
『ヴィクトルもフェイもアルヴィンもイバルも、みーんな大事な友達だもん』
「そうか……」
ジャオさんはしゃがんで、おっきい両手でわたしの両肩を包んだ。
「ワシは
四象刃
(
フォーヴ
)
として陛下のおそばを離れられん。だからお前たちに全てを託すしかできん。力になれず、すまぬ。こんなことを言ってはならぬのだろうが――どうか、お前だけは無事に帰って来てくれ、エリーゼ。世界の運命がどうなろうと。ワシが望むのはそれだけだ」
ジャオさん……世界よりも、わたしを、選んでくれるんですね。
『帰ってくるよ。ヴィクトルたちとみーんないっしょに』「待っててくださいね」
ジャオさんは今度、優しく笑ってくれた。胸がぽかぽかした。
/Ivar
久しぶりにここへ来た。ここ――ミラ様の、マクスウェルの祠の前に。
この祠から「俺」は始まった。俺の原点、母胎といってもいい場所。「巫子イバル」としてのほとんどの思い出がここでの出来事だ。いいも悪いも、喜びも怒りも。
ミラ様。貴女がリーゼ・マクシアを守ろうとなさっているのは、このイバル、痛いほど理解しました。
ですが貴女と姉上様のやり方では、今度こそエレンピオスを切り捨ててしまう。
たかだか巫子でしかない俺に、主人であるミラ様の在り様を断じる権利などありはすまい。
それでも、ここでお諫めできなくば、ミラ様から最後の誇りをも失わせてしまう。
俺はそんなこと許せない。許せないのです。
――ならばマクスウェルの巫子イバルよ。そのためにミラ様に剣を向けられるか?
「ああ」
二刀を抜いて、構え。そして、空を斬った。
散っていた枯葉が、全て2枚に裂けて地に落ちた。
「俺はミラ様の巫子だ」
ミラ様。このイバル、ミラ様のために、今より貴女様の敵となります。
[8]
前話
[9]
前
最初
[1]
後書き
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ