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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十六話 決戦前のコンマゼロ(後)
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、こいつは言った。

 母さんみたいに失くしたくない。もう二度と。
 ミラたちとの戦いで、ユースティアがいなくなったら。

「アルフレドは決めた? ミラとミュゼんとこ、行くか、行かないか」
「お前は行くんだろ?」
「行く」
「なら俺が行かないわけないって知ってるだろ?」
「――うれしい」

 背中に回った両腕の力が強くなった。少なくともハグしても拒まれないくらいには、ユースティアは俺に心許してくれてるってことだから。

「ボスは?」
「バランと連携取るために連絡会議中」
「さすが、ボス」

 やっぱユースティアん中じゃ俺<ジランドなんだな。軽く腹立つ。俺、マザコンみたいだわ。





/Elise

 わたしはティポといっしょに、わたしが小さい頃に住んでた家の前にいた。

 しゃがんで、プリンセシアの花に触れる。花言葉は「かけがえのない宝物」……だっけ。
 お父さんとお母さんは、どんなことを思ってこの花を植えたのかな。

 ティポを抱いてぼーっとしてると、後ろで霜の降りた地面を踏む音がした。

『ダレだー!?』「あっ」

 立ってたのは、ジャオさんだった。ちょっと困った顔をしてる。

「あのアルクノアの男に聞いての。おぬしがここにおると」
「アルヴィン、に……」

 それからわたしは、ジャオさんとちょっと歩くことになった。

 聞きたいこと、知りたいことはいっぱいある。戻ってくるつもりなら心残りはカイショーしなさいってヴィクトルは言ったから。

『ねーねーおじさん。エリーゼのお父さんとお母さんはどんな人だったの?』

 う。やっぱりティポのほうがわたしより先に反応しちゃう。

「娘っ子の親か――善い人たちだった。本当に。山賊だったワシが転がり込んで怯えさせてしもうたのに、徐々に暖かく接してくれるようになっての。それが心地よく、三度の火場(ラノーム)を過ぎてもその家を離れられんかった」
「お父さんとお母さん、優しかった、ですか」
「うむ。ホレ、ワシはこの図体じゃろう? 部族の者もワシを恐れていた。じゃが親御どのは決してこの身を悪く言わんかった。水汲みや薪割りをしたらきちんと礼を言ってくれた。礼など初めてじゃから驚いたのう。娘っ子を肩に載せた時は、さすがに落とさぬよう注意してくれと頼まれたがな、それさえ心地よかった――」

 なんとなく分かる、気がする。やっちゃいけないことをちゃんと教えてくれるのも愛情だって、今はわたしも知ってるから。

「――たし、も」
「ん?」

 一度立ち止まって、ジャオさんの正面に回り込んで、ジャオさんを見上げた。

「わたし、も、ジャオさんがどんなにおっきい人でも、こわくないです。だってジャオさん、優しい、から」

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