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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第四十五話 決戦前のコンマゼロ(前)
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ったのかもしれない。
何てことだ。私はずっと亡くした過去ばかり追って足掻いて、自分の娘たちと一度も向き合わなかったのか。
「フェイもパパが大好きよ。またパパと一緒に消えてもいい」
「……クレインはいいのか?」
じきにラ・シュガル王になるとはいえ、クレインの心は変わっていないし、フェイもまた同じ。
別離は苦痛だ。私自身がそれから逃げられずにフェイを求めた。
「うん。クレインさまはいっぱい愛してくれた。消えてもずっとフェイはクレインさまが好き。この恋とパパだけで、わたしはまた満たされた」
――ヘリオトロープの色をした瞳は、一人前の大人のもの。
フェイリオの頭に置いた手を背中に回して抱き寄せる。
分かったよ。お前がそう言うなら。それを望んでくれるのなら。
今度こそ二人であの湖に永遠に眠ろう、フェイ。
/Rowen
「やはりこちらにおいででしたか」
玉座の間。ガラス張りの壁からイル・ファンの街並みを見下ろしていたクレイン様が、私をふり返られた。
クレイン様はよくこの玉座の間でそうなさっています。ですが決して玉座に座ろうとはなさいません。自分はまだ正式なラ・シュガル国王ではないから、と。
「何度抜け出してもバレてしまうな、ローエンには」
「これでも旦那様の執事ですので。――見つけついでに、何が主の心を曇らせているのかお聞きしてもよろしいでしょうか」
クレイン様は寂しげな笑みを浮かべました。
「迷ってる。新しいマクスウェル――ミラさんが成そうとしていることを受け入れるべきか、抗うべきか」
ヴィクトルさんとメイスさんから大体の事情は聞きました。今、彼らの母国に迫っている危機、新たなマクスウェルの目論見。
「ミラさんのしようとしていることは、確かに黙って受け入れても障りはないのかもしれない。ミラさんはリーゼ・マクシアだけを確実に護ろうとしているんだから。けれど、今もリーゼ・マクシアに残るエレンピオス人には、辛い思いをさせてしまう。かつて、帰りたくても故郷に帰れなかった、ラーラ・トラヴィスの民のように」
「そのエレンピオス人が、この世界の精霊たちに甚大な打撃を与え続けた過去があってもですか?」
「それを言い出したらキリがないよ。元々、彼らをリーゼ・マクシアに迷い込ませたのはマクスウェルだろう?」
どちらも被害者であり加害者である。我が主人はちゃんと心得ておられる。
「王として最善の判断はどちらか。そんなことも決められないでいる。自分から望んでラ・シュガルの王になったのに」
まだ玉座に就かれておらずとも、クレイン様はすでにラ・シュガルの王としての思考を備えつつあります。
ファイザバード沼野にア・ジュール兵
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