『悪霊使い』の少年そのC
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まった身長差によってアーシアは千城の胴回りを抱きしめる。
『言葉が通じなくて困っていたんですけど、まさかセンジョーに会えるなんて。夢でも納得してしまいます』
『夢じゃない、夢じゃないんだよ。お前はここにいる、おれ、だって………』
『すっかり大きくなりましたね。おれ、だなんてセンジョーも男性らしくなったといいますか』
? 嬉し泣きで貰い泣きする千城の涙を拭おうとハンカチを取り出して『少し低くなってください』と言って態勢を低くさせ、涙を拭う。そーっと千城の学生服の裾を掴みながら、
『もっと、どこかでお話ししたいんですけど、いいですか?』
『ああ、構わないよ。どこに行こうか』
『センジョーに任せます。………あっ、ちょっと待ってください』
? ?アーシアは転けて怪我をした幼い男児に元へと向かい、手をかざすと緑色の光が溢れ出す。まるで祖父やシーザーやチェザーレが放つ波紋のような暖かさを秘めた、その光。「これで大丈夫です」とアーシアが言えば、男児は「ありがとう、おねえちゃんっ!おにいちゃんっ!」と笑顔で駆け出して行った。自分は何もしていないが、男児の笑顔は眩しい。
『日本語、話せるのか?』
『ええ。もしかして、日本語がいいですか?』
『………いや、俺はこれでいいよ。昔みたいだ』
『ふふ、私もです。じゃあ、連れて行ってくださいね、センジョー』
『………ああ』
? ?千城の指に触れて昔のように手を繋ごうとするが、成長して互いに変化したことで恥ずかしさが拭えない。互いがそんな調子なのだから、結局は腕を絡めることで落ち着いた。千城はアーシアの粗の不思議な力が何かというよりも、まずは今のこの幸せなひとときを過ごしたいと思った。
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