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ジョジョは奇妙な英雄
『悪霊使い』の少年そのC
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で通常のものよりは大きく、年号が刻まれているようだが擦れて見えない。

「開けていい?」
「無理」
「どうしても?」
「無論」
「開けたらどうするの?」

? ?桐生が懐中時計に開閉機能があると気づき、一応は千城の許可を取っておこうと思って尋ねてみるが千城は頑なに開けて欲しくないようだ。何度も聞いてみると、次第に千城の表情が薄れていって最後には左手のひらをパーにして右手を拳にして打ちつけた。開けば許さない、という意識の表れらしい。
? ?御上千城は『悪霊使い』である。
? ?それは駒王学園に通うものならば誰でも知っていることで桐生もまた然りだ。証言によると殆どは千城の逆鱗に触れた上で報復に遭っているだけらしいので千城に非はないだろう。面白がって焚き付ければ拳を振るう性質は変わっていないようで現在でもたまに噂は聞く。寡黙な分、感情を押さえつけているのもあるだろうが、だからこそ弾けると厄介だ。

「わかったよ、そこまで言われたら仕方ないなぁ。器が小さいのはさておき、ソレも小さいと悦ばせられないゾ☆」
「………父親の上司みたいなことするな、桐生」
「濃い人なんだな、きっと。ナチュラルに流したよね、今」

? ?千城の下腹部に視線を送り、チョキを作って真横にして顔の前に添えてきゃぴっと効果音がつきそうな桐生の振り付けは『魔王少女』を名乗る父親の上司を思わせる。正式な場では、それこそ正装してはいるものの良い年してツインテールにコスプレは痛々しくて見ていられない。この学校に通っているそうだが、最後に会ったのはいつだろうか。
? ?千城に懐中時計を返却し、「しゃきっとしろよ少年!」と背中を叩いて一誠を囲む二人の中に桐生は飛び込んでいった。人当たりの良い桐生は誰とでも仲良くなれるという点では羨ましく思うが、何を思ったのかトチ狂ったようなことをしなければモテるだろうにと思う千城だった。

***

? 珍しく放課後は久々に夢美と二人で帰る日だった。チェザーレもレイナーレも用事があるようで何かあるのではないか、レイナーレに尋ねたところ、レイナーレは照れながらチェザーレを引っ叩いた。久々に夢美と帰ることとなっても、たわいのない会話をするだけだったがどこか気まずそうな様子が見て取れたので気づかまいとしていたところ、夢美も夢美で「ごめん、今日はこれで」と互いに気を遣った結果、すぐに別れてしまった。家に帰るにもまだ早く、フラフラと歩いていると目前に金髪の少女が見えた。修道服に金髪、どこか優しげな顔の少女はーー。

『アー、シア………?』
『センジョー、ですか………?』

? ?彼女の母国の言葉で話しかけると、何か困っていたらしく千城を見つけて懐かしさ半分と驚き半分と言った様子で駆け寄ってきた。目には嬉し涙を浮かべ、すっかり差が開いてし
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