憎悪との対峙
38 傍観者の視線
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を侵入と同時に転送する、理想的な侵入だが、時間が無かったために消去するのを忘れたらしい。
それが仇となった。
「ん?これは…スゲェ…」
「スゴイ…でもこの無駄のない綺麗な文字列…」
2人はそのツールを構成するスクリプトを開いた。
C言語やPython、Ruby、PHP、Perlなど様々な言語で構成されたそれは美しい言葉の羅列だった。
プログラムというのはちゃんと文法さえ守っていれば動作する。
つまり改行や命令の定義がバラバラの場所になっていたりすることも珍しくはない。
だがこのプログラムは違った。
定義や命令や例外はこれもまた綺麗にまとめられ、臨機応変に様々な状況をプログラムが自動で判別できるようになっている。
また例外が発生しても、すぐにそれに合わせて編集がしやすいようになっている。
インターネットで出回り、誰でも簡単に手に入るシロモノではない。
マヤは更に痕跡を調べる。
この手口には見覚えがあった。
この予想があたって欲しくないという一心で痙攣を起こしたように端末コンソールのキーボードを叩き続ける。
だがその願いは呆気無く打ち砕かれた。
「まさか…」
「…最悪」
リサとマヤはそのログを見て凍りついた。
何度もコマンドや表記に間違いが無いかを確認する。
しかし指自体がコマンドに慣れており、無意識に入力した出力コマンドは間違っていなかった。
Oct 30 16:42:17 itbsv1 sshd[4437]: session opened for ROOT from 192.168.30.8 by shark port 22 ssh2
最新のアクセスログにはアクセスを仕掛けてきたユーザー名がはっきりと残っている。
「shark」、この1つの単語が2人やネット世界の住人にとっては、あまりにも単純でなおかつ恐ろしいものだった。
それを横目で見ていた笹塚は既に頭の中の整理が追いついていない。
「えっと…じゃあ、ロックマンがシャークで?ここの2人を倒して、そこの廊下でドンパチやって、警察と喧嘩して人質助けて…?もう分けわかんね」
「シャークかどうかはともかく、今のところ、少なくともロックマン=クラッカーと見て良さそう。仮にシャークの名を騙った別人でも、相当なスキルを持ったクラッカー」
「そうでないと僅か数分でこのセキュリティが解除された説明にならない。バイクで逃げたのは2人組って話だったから、格闘専門の脳筋とクラッキング専門のヲタクの複数犯だった可能性もあるけどな」
「とりあえず今はシャークよりValkyrieよ。ネットワーク越しに侵入されたっていうなら追跡出来るけど、直接乗り込んで来て、データを盗まれたなら私たちには追跡できないわ。ローカル環境、しかも今私たちがいるこの場から侵入さ
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