憎悪との対峙
38 傍観者の視線
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「警察の隊員との押し問答の末、地下のこの部屋に来ることが出来たわけですが…来るなり今の男2人がぶっ倒れていて、サーバールームのロックはシステム側から解除されていました。でも状況から察するに、あの2人が解除したわけじゃなさそうです。サーバールームに関しては中のサーバーの1台からハードディスクが持ち去られていました」
「なるほどね。2人が作業してるところを誰か一撃。その隙にロックを解除して、ハードディスクをトンズラってわけね」
マヤはその場に残されていたPCに触れながら返した。
リサと笹塚は部屋の中の痕跡を探る。
そんな時、笹塚はその場に落ちていた鉄格子に躓いた。
「おっと!?って…何だろ、これ」
「マヤちゃん、笹塚さん!上!」
「上?あっ」
「まさかあそこから飛び降りて来て奇襲掛けたってわけ?」
リサの指の指す方にはダクトがあった。
鉄格子はそこから落ちてきたのだ、Valkyrie以外の侵入者と共に。
「外でドンパチしてたのは、ロックマンとValkyrie?じゃあ、ここで暴れたのもロックマン?」
「Valkyrieが先にハードディスクを奪おうとしてたのに、ロックマンがいきなり現れて、ハードディスクを取っていこうとしたもんだから喧嘩したってわけか」
「じゃあ、このドアロックを解除したのもロックマン?でも…このサーバールームにはニホンを転覆させかねないデータがあるのに、そう簡単に解除できるものかしら?ロックマンにそこまでのスキルがあると?」
3人は考察を始める。
ここまでの推理が正しければ、ロックマンには敵を倒す凄まじい戦闘能力以外にこのドアロックのシステムに音も立てずに侵入して解除するだけのクラッキング技術が保有していることになる。
リサとマヤの2人でやっても数時間は要するであろうセキュリティを僅か数分で解除する。
そんな技術を持ったクラッカーはそう多くない。
「待ってくれ…姉ちゃん、これ」
「何?...これは…ツールキット?」
「あぁ…多分、侵入と同時に自分の作業がしやすいようにツールを同時に転送したんだろう」
大工が自分の使いやすい道具を持ち歩くように、コンピューターの世界でも自分の作業のしやすい環境を作るためのプログラム集を1つの圧縮ファイルにしたものが残っていた。
侵入する際、脆弱性を突いて侵入すれば、特にIDもパスワードも無く、システムに入り込めてしまうことが多い。
だが侵入できてもパスワードや管理者権限が無ければ、自由にシステムを操れない。
それを行うためにはパスワードを解析して、管理者権限を強奪する必要がある。
システムの中でシステムに侵入する、基本といえば基本だが、それを行うための道具は標準で備わっているわけではない。
自分のPCと同じような環境で作業をするための道具
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