憎悪との対峙
38 傍観者の視線
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、お前は御役御免だ。足手まといだから、さっさと本部で休んでろ」
シドウは見るからに疲れきっている。
本人もこの疲労で頭の回転にも影響が出て、指揮を誤る可能性があると判断したのだろう。
狂い出す可能性のある歯車を無理に回転させては取り返しの付かない事態を招きかねない。
客観的に見ても、的確な引き際と言える。
マヤは鬱陶しがるように、上司であるシドウに対していつものように暴言を吐いた。
だが本当に鬱陶しく思ってはおらず、シドウもそれは理解していた。
そしていつものように2人の性格と能力を信頼して、一言だけ口にした。
「頼んだぞ」
「「了解」」
リサとマヤはシドウに一度、敬礼をするとテントを出て、校舎に入った。
「暁…大丈夫かな?」
「心配してるなら、ちゃんと言ってあげなきゃ」
「でも…恥ずかしいし…」
マヤは顔をしかめながら階段を降りていった。
階段には乾いた血と銃弾の跡が残されている。
正直、11歳の2人からすれば、映画の撮影の後なんだと思い込まなければ、進むに進めないような状況だった。
思わず2人で寄り添いながら階段を降りていく。
だがそんな時、後ろから悲鳴が聞こえた。
「うわぁぁ!!!」
「え!?何!?」
「ちょ…この声、笹塚だ!!」
驚く2人の隣に笹塚が転がってきた。
2人の後をついてきて、2人同様に階段の燦々たる様子に驚いて足を滑らせたらしい。
「イテテテ…」
「てめぇ!!驚かせやがって!」
「いや!?すいません!!でもオレが車停めてるうちに、2人で行っちゃうから…」
「大丈夫ですか!?」
「あぁ…あざす。でも御二人共、良く平気ですね?」
「「平気なわけないでしょ!?」」
リサとマヤは笹塚に一喝すると、先に進む。
しかし、もうすぐ問題の部屋だというのにふと目が止まった。
「おい!あれ、見てみろよ」
「ん?...何でしょ?何だか円形に銃弾の跡が残ってないところが…」
「それにココ。足元に変形した弾丸が落ちてるわ」
「まるで誰かがバリアでも使って自分だけ身を守ったって感じ」
その光景を見るだけで、どれほど壮絶な戦闘がこの場で起こっていたかが手に取るように分かった。
防犯カメラの映像はあるそうだが、それを見るまでもない。
飛び散る火花、雨のように放たれる弾丸、それから身を守るロックマン、想像するのは容易だった。
「あっ、分析官?どうしてここに?」
「ちょっと調べ物があって。どんな状況ですか?」
3人が来るとは予想していなかったが、すぐさまサーバールームを調査していた隊員は通し、説明を始めた。
マヤはその場から担架で運ばれていく男2人組を哀れそうに眺め、サーバールームのゲートの前に残されたPCに目を移した。
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