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流星のロックマン STARDUST BEGINS
憎悪との対峙
38 傍観者の視線
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たとしたら、もっと成功率の高い作戦を考えていただろう。
だが今回はあえて傍観者に徹し、Valkyrieの作戦をうまく利用することにした。
スターダストを世に出し、戦わせるためのステージ作りに過ぎないが、その効果は絶大だった。
スターダストはベースとなる肉体の持ち主である彩斗の優れた資質によって、その能力は予想を遥かに上回る勢いで劇的に向上している。
たった2日でシステム自体のスペックにも凄まじい変化が現れた。
多少、予期していないことは起きているが、順調と言っても問題ない程度だ。
少年は不思議と心躍った。

「デモ…Valkyrie…倒されチャウかもヨ?」

女性は笑い混じりに冗談を言った。
仮にValkyrieが無くなろうと少年には大した影響は無いと知っていた。
だが少年はその冗談に応えるように、ベンチの裏側に回り込むと彼女を後ろから抱きしめるような体勢になった。

「連中がいなくてもオレにはお前がいる。だろ?リーゼロッテ、いや…メデイア」
「Ja.<ええ>」

女性は頷き、少年の顔を見た。
少年はいつものように屈託の無い笑顔で微笑むと、上を向いた。

「妨害電波が消えていく…WAXAに妨害電波発生装置を止められたらしい」
「デモもう作戦終わっテル。コレが捨て駒?」
「フッ…よく出来ました」

少年の目には虹色の空が、綺麗な星空とウェーブロードの行き交う世界へと変わっていくように見えていた。
女性にもそこらにいる野次馬にも見えない、この場では少年以外見ることの無い自分だけの世界だった。












「おい!暁!」

マヤはその怒りを露わにした状態でテントの中で指揮を出しつつ、先程までの戦闘の疲労を癒していたシドウに詰め寄った。

「どっ、どうした?この間の報告書ならちゃんと…」
「違ぇよ!」
「え?お前のデスクのストロベリータルト食べたっていうなら、それは濡れ衣…」
「それでもねぇよ!!あのコスプレ逃亡犯は!?」
「…ロックマンのことか?」
「そうだ!アイツのせいで私と姉ちゃんのパソが逝っちまった!」
「落ち着けよ…とりあえず被害届でも出しとけ。残念ながら、たった今無線が入ったんだが…逃げられたと。さすがにウェーブロードの上ともなれば追跡できん…うぅ…」

シドウはため息をつきながら、疲れきった体の悲鳴に声を漏らした。
外傷自体は大したことはない。
鍛え抜かれた肉体は本能的に迫ってくる攻撃のダメージを最小限にするべく反射的に動いていた。
むしろダメージを与えているのは、アシッドシステムそのものだ。
常人を越えたシドウだからこそ、この程度で済んでいるが、普通の人間なら集中治療室からしばらく出られないだろう。
運が悪ければ、死んでしまうかも
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